「夜空いっぱいの星を、ゆっくり眺めたことがある」「海や川で泳いだことがある」「チョウやトンボ、バッタを捕まえたことがある」──もし、子どもたちからこんな声がまったく聞かれなくなったら、どこか寂しい心地がする。しかし、それも現実となりつつある。
小学生(4〜6年生)と中学2年生、高校2年生を対象とした日本の調査では、平成24年から令和4年にかけての10年間で、自然体験の経験が「多い」「やや多い」と区分される生徒の割合は年々減少し、44.7%から33.8%に至った(※1)。デジタル技術の普及により子どもたちの「自然離れ」が危惧される中、データ上でもその傾向は少しずつ顕になっているのだ。
では、どうしたら自然に触れるハードルを下げ、かつ安全に過ごす方法を学び、自然を楽しむための「入り口」を身近なものにできるだろうか。
そんな入り口の設計においてヒントを与えてくれるのが、米国初、書籍だけではなく野鳥観察キットやスノーシューの貸し出しを行う図書館「Anythink Nature Library」だ。この施設は2026年8月8日、コロラド州アダムズ郡にオープン。公立図書館システム・Anythink Librariesの第8分館として運営される、いわば自然図書館だ。

Image via Anythink Administration

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敷地内には、子どもたちが心ゆくまで泥んこになって遊べるスペースや、緑豊かなトレイルコース、先住民らの知見を取り入れて整備されたガーデンが広がる。誰でも無料で借りられるアウトドア用品キット「TryIts」として、バードウォッチングキット、スノーシュー、防水テント、顕微鏡、野生動物カメラ、園芸用品などを用意。自然界に焦点をあてた書籍も揃っているという。
この図書館は、Environmental Kinship Guide(環境類縁ガイド)に従い、自然界のあらゆるものが相互に関わり、人間もその一部であるという理解に立ち(※2)、先住民およびネイティブアメリカンの知見に学んだ施設やプログラムを提供している。
ここでは、固定化したプログラムだけを提供するのではなく、いつ、どこで、どんなツールを選ぶのかは個人に委ねている。こうしてそれぞれのレベルに応じて自然とのつながり方を選び、学び、遊ぶことができる「開かれた」空間である点は興味深い。
またこの場所は、多くの人が知っている「図書館」という空間を基礎として、借りる対象を書籍から自然体験ツールへと拡張する。振る舞い方を知っている日常の場をベースとしたアプローチは、公共の力を生かして広く行動変容やきっかけづくりの一歩を後押しするだろう。

TryItsのコレクション|Image via Anythink Administration

泥遊び場で遊ぶ子どもたち|Image via Anythink Administration
※1 青少年の体験活動等に関する意識調査(令和4年度調査)〈令和6年3月発行〉|国立青少年教育振興機構
※2 Environmental Kinship Guide|Mindstretchers Academy
【参照サイト】Anythink Nature Library|Anythink Libraries
【参照サイト】Anythink Nature Library Opens Aug. 8 as Nation’s First Public Nature Library|Anythink Libraries
【参照サイト】The nation’s first ‘nature library’ just opened. Bird watching kits and snowshoes are available for checkout|Good Good Good
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