新品のフリースを見ていると、ページに「中古もあります」と案内が出る。カートには、新品と中古を一緒に入れられる。パタゴニアが2026年10月14日から米国向けの公式サイトで始めたのは、そんな買い物のかたちだ。
同社は2017年に中古衣料の販売プラットフォーム「Worn Wear」を立ち上げた。米国では全店舗と公式サイトで下取りを受け付けており、着なくなった服はギフトカードと引き換えになる。服は社員の検品を経て、洗浄と修理をしたうえで、大幅な割引価格で売られる。ブランドが自ら運営する中古販売の先駆けだが、これまで中古を買うには、別のサイトへ移動する必要があった。
今回、新品と中古品のサイトを統合した狙いについて、「中古販売をブランドの中心に据え、顧客体験の最前線に置くため」だとFast Companyに語っている(※1)。同責任者によれば、これまでWorn Wearの存在を知らない顧客も多かったという。同じ場所に並べることで中古品に「ふつうの買い物」という印象を与え、中古や下取りにまだ踏み出せない人との溝を埋めたい考えだ。

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実現には4年かかった。同記事によれば、新品と中古品を同じ場所で売るブランドは珍しく、UXチームはまず、中古品の背景色を変えるなどして、見分けやすくする工夫を重ねた。新品なら1種類のセーターで済むが、中古は傷み具合の違う個体が並び、すでに生産されていない色もある。倉庫では1点ずつ在庫を管理しつつ、顧客には10種類の個別商品から選ばせない見せ方が求められた。扱う商品は、20年の歴史に及ぶ数万点。しかも品ぞろえは、顧客が売り戻した品によって絶えず変わる。
新品との競合も、承知のうえだ。中古品がもっと売れれば、服をつくる段階で生じた環境負荷を減らせる、というのが同社の考えである。ただし規模はまだ限られる。販売されるのは顧客が送り返した品だけで、2026会計年度の販売は16万点近く(※2)。責任者は、多くの服が埋め立てられたり、クローゼットで眠ったりしていると指摘し、仕組みと認知を築けば、服をもっと使い切れるはずだと語る(※1)。
中古が、環境意識の高い人がわざわざ別の場所で選ぶものから、画面にふつうに並ぶ選択肢へと変わる。この取り組みで注目したいのは、中古を広げる手がかりを、「見つけやすさ」と「ふつうらしさ」に置いている点だ。自社の新品と競合するリスクを取ってでも、同じ棚に並べる。その覚悟が、「中古を選ぶ」という行動の入口を広げている。
ただし、中古が買いやすくなれば、かえって服の買い足しが進むのではないか、という指摘もある。米国の消費者を対象にした調査では、中古をよく買う人ほど、新品もよく買う傾向が示された(※3)。中古が新品の「代わり」になるのか、「上乗せ」になるのかは、まだ見えていない。
16万点という数字は、同社が新品として世に送り出す服の量と比べればまだ小さいかもしれないが、新品の隣に中古を並べるこの試みが、服の巡り方を変えられるかどうかの試金石になるだろう。
※1 Patagonia just made a brilliant update to its website—and it could change the way we shop
※2 A new milestone for Patagonia’s resale business
※3 Second thoughts on secondhand? Why the resale market is expanding fashion’s carbon footprint
【参照記事】A new milestone for Patagonia’s resale business
【参照記事】Patagonia now sells its Worn Wear collection of refurbished gear right alongside new products
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