BPAフリーとは・意味
BPAフリーとは
「BPAを含まない」という意味であり、BPAを含まない製品には「BPA Free」と表記されることがある。BPAはビスフェノールAという化学物質のことであり、プラスチックの一種であるポリカーボネート、エポキシ樹脂の原料として使用される。BPAは食器や容器などから飲食物に移行し、食事を通して人の体内に取り込まれることがある。
BPAは1997年頃から、内分泌系への悪影響が懸念される物質として社会的に話題となり、欧米諸国を中心にBPAを含む製品を避ける消費者が多い。そういう消費者に安心感を与えるため、「BPA Free」と記載された食器や容器などが販売されている。
BPAフリーの製品
BPAフリーの製品は弁当箱、コップ、ベビー用品など様々だ。IDEAS FOR GOODで紹介したBPAフリーのアイテムとしては、何度も洗って使えるコーヒーカプセル「Evergreen」やサンドイッチ・ラップの「Boc’n Roll」、自己浄化システム搭載のマイボトル「LARQボトル」などがある。
また2019年にはアメリカのカリフォルニア州で、紙のレシートに含まれるBPAが人体に悪影響を及ぼすなどの理由から、レシートをデジタルにしようという法案が提出された。
BPAに関する各国の対応
低用量のBPAが(特に胎児や乳幼児の)体に与える影響については、未だに不明な点が多く、国際的にも議論されているところだ。
国税庁によると、2019年12月現在BPAの規制が確認されるのは、フランス(BPAを含み、食品との直接接触が意図されているあらゆる梱包、コンテナまたは調理器具の製造、輸入、輸出、販売を禁止)とアメリカのカリフォルニア州(BPAを含む商品を提供する場合は、「明確かつ合理的な警告」を表示しなければならない)だ。
米国食品医薬品局(FDA)は「食品包装を通じたBPAの現在の暴露レベルは乳幼児を含めた全人口へ直ちに健康リスクを生じるものではない」と声明しているが、BPAのリスク評価は継続するとのこと。また欧州食品安全機関(EFSA)は2008年、「現行の耐容一日摂取量(0.05mg/kg体重/日)は、胎児や乳児を含む消費者に対して十分な安全域を確保している」との結果を発表した。
日本の食品衛生法の規格基準においては、ポリカーボネート製器具及び容器・包装からのBPAの溶出試験規格を2.5μg/ml(2.5ppm)以下と制限している。
BPAフリーでも、人体への影響は未知数
BPAフリーの製品には、BPAの代替物質であるBHPF(フルオレン-9-ビスフェノール)やBPS(ビスフェノールS)が使われている場合がある。これらの代替物質に有害性があるとする研究報告もあるが、研究データが少ないため人体への影響は未知数だ。「リスク評価に基づき設定された規格基準や製造基準のあるBPAのほうが、安心なのではないか」という意見もあることに留意したい。