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エコデザインとは・意味

エコデザイン

エコデザインとは?

エコデザインとは、製品やサービスのライフサイクル全般にわたって、資源やエネルギーの消費を抑え、環境への影響が最小限になるように設計すること。日本では、“Environmentally conscious design(環境に配慮されたデザイン)”の訳語とされることもある。

エコデザインの適用範囲は、一つのプロダクトだけではない。大規模な工業製品や、学校の建築、街全体の設計などにも関わってくる。

サステナブルデザインや、他の言葉との違い

エコデザインという呼ばれ方ではないが、近い意味で用いられる言葉がいくつかある。例えば、「サステナブルデザイン」は、環境や社会に対する負荷を最小限に抑えるという点では同じだが、持続可能な未来を実現するためのデザインとして経済や社会活動のことも含まれており、エコデザインよりも広義に捉えられる。

他にも、「サーキュラーデザイン」は可能な限り資源を効率的に利用する考えがベースにあり、廃棄物(ごみ)を減らすエコデザインに対し、そもそも「廃棄物として捉えない」で活用する設計を目指している。

国際的に使われる言葉として、DfE(Design for Environment/環境適合設計)はエコデザインとほぼ同義であるが、ISO14062という形で国際規格としても定義されている。

また、EU圏内ではエコデザイン指令(Energy using Products(EuP) Directive)が2009年に施行されている。こちらも定義としては似ているが、対象が「エネルギーを使用するプロダクトすべて」とされており、エネルギー消費の削減に焦点が当たっている。

エコデザインに関する世界の動き

1970年代頃から公害や環境問題が表面化し、国際的な議論が持たれるようになった。そうした中、1987年に国連の環境と開発に関する世界委員会によって示されたのが「持続可能な開発」という概念だ。1990年代に入ると、地球サミットの開催や、環境ISOの国際規格が整備されたことなどもあり、「持続可能な開発」の実現に向け事業者の環境マネジメントに対する関心が高まっていった。

近年はITやAI、ロボット技術の発展、シェアリングサービスの普及、SDGs達成に向けた動きなど産業構造が大きく変化しつつある。製品やサービスの提供にあたって異業種間の連携や協力が加速する中、バリューチェーンを構成する関係者間で環境配慮設計への共通認識を持つことが必要だ。

こうした流れを受け、2019年にはISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)において「IEC 62430:2019 Environmentally conscious design (ECD) – Principles, requirements and guidance(環境配慮設計-原則、要求事項及び手引き)」が開発、発行された。

この中で適用範囲は電気・電子製品からあらゆる製品・サービスに拡大している。日本でもこれを基に、2022年「JIS Q 62430」が制定された。国内外の市場及び、社会全体の環境への影響低減へ向けてさらなる貢献が期待されている。

欧州(EU)では、2022年に「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)案」が発表された。これは2009年から施行されている現行のエコデザイン指令を改正したものだが、これまで家電などエネルギー関連製品のみだった規制対象が、食品・飼料・医薬品など限られた例外を除く幅広い製品に広げられている。

さらに、現在は主に製品のエネルギー消費効率など、環境性能を要件としているのに対し、ESPR案では、耐久性、信頼性、修理可能性、資源効率性、環境影響(カーボンおよび環境フットプリント)など、循環型の性能要件が求められるようになる。また、製品の修理可能性などライフサイクル全般にわたる各種情報を記録した「デジタル製品パスポート」の導入を義務付ける予定だ。

エコデザインを実現するには

では、もし自分が製品を作るとなったとき、どうしたらエコデザインを実現できるのか。1997年にオランダ工科大学が編集し、UNEP(国連環境計画)によって発行されたマニュアル「Ecodesign: A Promising Approach to Sustainable Production and Consumption」では、以下の8つのステップが提案されている。

  1. 新しい製品コンセプトの開発
  2. 環境負荷の少ない材料の選択
  3. 材料使用量の削減
  4. 最適生産技術の適用
  5. 流通の効率化
  6. 使用時の環境影響の軽減
  7. 寿命の延長
  8. 使用後の最適処理のシステム化

まとめ

加速度的に、地球環境問題や気候危機が進行している現在、国や地域を超え、こうした取り組みによる連携が必要だ。欧州委員会で環境政策を統括する上級副委員長のフランス・ティマーマンス氏は、2022年3月に公開されたリリースにて「従来の、take(資源を取って), make(作って), break(壊して), and throw away(廃棄する)というモデルを終わらせる時がきた」と述べている。

2030年のネットゼロ達成に向けても大きな方向転換が求められている。今後は商品や技術だけでなく、仕組みやサービスに対するエコデザインなども広がっていくだろう。

【参照サイト】 Sustainability Guide | Ecodesign
【参照サイト】Ecochain | Guide: Ecodesign, sustainable design, circular design
【参照サイト】Europian Union | New proposals to make sustainable products the norm
【参照サイト】大阪大学 | 次世代エコデザインの論点
【参照サイト】サイエンティフィック・システム研究会 | エコデザインからサステナブルデザインへ
【参照サイト】ジェトロ | 欧州委、循環型経済を推進するためのエコデザイン規則案を発表(EU)
【参照サイト】経済産業省 | 持続可能な製品・サービスのための「エコデザイン(環境配慮設計)」に関する JIS 制定




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