報道の自由とは・意味
報道の自由とは?
報道の自由とは、社会で起きている様々な出来事や、時には隠された真実を、権力からの圧力や干渉を受けることなく、ジャーナリストやメディアが自由に取材し、人々に伝えることができる権利である。
これは単に報道機関のためだけの権利ではなく、私たち市民一人ひとりが自ら情報を得て、自ら考え、判断するための基盤となる。民主主義社会にとっての重要な権利である。
報道の自由が保障されることで、ジャーナリストは政府や企業、その他の組織に対して臆することなく疑問を投げかけ、情報を収集することが可能となる。公文書の開示を求めたり、内部告発者の情報を保護したりすることも、この自由に含まれる。特定の意図によって情報が歪められたり、一部の情報が隠蔽されたりする状況がある場合、自由が保障されていないと言える。
報道の自由度を測るランキング
報道の自由を測る指標として、国際NGO「国境なき記者団(RSF:Reporters Without Borders)」が毎年発表している「報道の自由度ランキング」がある。これは世界180の国と地域を対象に、報道の自由の度合いを数値化して評価している。このランキングは、英語で「World Press Freedom Index(訳:世界報道自由度指数)」として公表され、数値が高いほど報道の自由が保障されていることを示し、反対に数値が低いほど制約が大きいことを意味する。
ランキングは、国境なき記者団と専門家パネルが、以下の定義に則って各国を評価することで作成されている。
報道の自由とは、政治的、経済的、法的、社会的干渉を受けず、身体的、精神的安全が脅かされることなく、個人および集団としてのジャーナリストが公共の利益のためにニュースを選択し、制作し、発信する能力と定義される(※1)
国境なき記者団(RSF)は、1985年に4人のジャーナリストによって設立された、フランスを拠点とする国際的な非営利団体である。国境なき記者団は、民主主義の基本原則に基づき、世界中で「情報の自由」の擁護と促進に取り組んでいる。
国境なき記者団の使命は、すべての人が自由で信頼性のある情報にアクセスできる権利を守ることである。この権利は、人々が社会の課題を正しく認識し、理解を深め、自らの意見を形成・表明し、主体的に行動するために欠かせない。
この目的を実現するために、国境なき記者団はジャーナリズムの自由、多様性、独立性を擁護し、それらの価値を体現する人々を支援している。その一環として、毎年「報道の自由度ランキング」を発表し、各国における報道の自由の現状を国際社会に発信している。
各国の報道の自由度はどのように測られるのか
世界報道自由度指数(The World Press Freedom Index)は、各国・地域に対して0点から100点までのスコアをつけ、報道の自由度を数値化している。最高点は100点(報道の自由度が高い)、最低点を0点(報道の自由が保障されていない)としている。
各スコアは以下の5段階に分類され、報道の自由の状況を示している。
- 85〜100点「良い(good)」
- 70〜85点「満足(satisfactory)」
- 55〜70点「問題あり(problematic)」
- 40〜55点「困難(difficult)」
- 0〜40点「非常に深刻(very serious)」
スコアの算出は以下2つの要素に基づく。
- 量的集計:メディアやジャーナリストに対する虐待の量的集計
- 質的分析:25カ国語で利用可能なRSFのアンケートに対する報道の自由の専門家(ジャーナリスト、研究者、学者、人権擁護者を含む)の回答に基づく各国・地域の状況の質的分析
次の5つの状況指標を使用して各国・地域のスコアを評価する。
- 政治的状況
- 法的枠組み
- 経済的状況
- 社会文化的状況
- 安全性
これら5つの状況指標の枠組みにおいて、以下の評価を図る。
政治的背景(Political context)
- 国や他の政治的主体からの政治的圧力に対する、メディアの自律性への支持と尊重の度合い
- 政治的に協調したアプローチや独立したアプローチを含め、専門的な基準を満たすさまざまなジャーナリズムのアプローチがどの程度受け入れられているか
- 公益のために政治家や政府の責任を追及するというメディアの役割に対する支持の度合い
法的枠組み(Legal framework)
- ジャーナリストやメディアが、検閲や司法制裁、あるいは表現の自由に対する過度の制限を受けることなく、自由に活動できる度合い
- ジャーナリストが差別されることなく情報にアクセスする能力、情報源を保護する能力
- ジャーナリストに対する暴力行為不処罰の有無
経済的状況(Economic context)
- 政府の政策に関連する経済的制約(報道機関を設立することの難しさ、国家補助金の配分における優遇措置、汚職を含む)
- 非国家主体(広告主や商業パートナー)に関連する経済的制約
- ビジネス上の利益を促進または擁護しようとするメディア所有者と結びついた経済的制約
社会文化的状況(Sociocultural context)
- ジェンダー、階級、民族、宗教などの問題に基づく報道機関への誹謗中傷や攻撃から生じる社会的制約
- その国や地域の一般的な文化に反するという理由で、特定の権力や影響力の牙城に疑問を投げかけたり、特定の問題を報道したりしないようジャーナリストに求める圧力などの文化的制約
安全性(Safety)
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- 身体的危害(殺人、暴力、逮捕、拘留、強制失踪、拉致を含む)
- 脅迫、強要、嫌がらせ、監視、Doxing(悪意をもった個人情報の公表)、品位を傷つける言論、憎悪に満ちた言論、中傷、その他ジャーナリストやその愛する人を標的にした脅迫から生じうる心理的・精神的苦痛
- 業務上の被害(例えば、職を失う、業務用機材の没収、施設の略奪)
報道の自由度ランキング 最新の結果について
最新の結果は、以下で確認できる。