グリーンローンとは？

グリーンローン（Green Loan）とは、グリーンプロジェクトに要する資金を調達するために用いる融資の方法である。グリーンローンの特徴として、調達資金の使途がグリーンプロジェクト（環境改善効果のある事業）に限定されること、調達資金が確実に追跡管理されること、そして、グリーンローンで調達した資金の使用について、融資後のレポーティングを通じ透明性が確保されることなどが挙げられる。

一般には、国際ガイドラインである「グリーンローン原則」（詳細は後述）に準拠することが求められる。

グリーンローンの主な貸し手は、ESG投資を推進する金融機関などであり、主な借り手は、自らが実施するグリーンプロジェクトの原資を調達する一般事業者（専らグリーンプロジェクトのみを行う特別目的会社を含む）、グリーンプロジェクトに対する投資・融資の原資を調達する金融機関、また、グリーンプロジェクトに係る原資を調達する地方自治体などである。

グリーンローン原則

グリーンローン原則（Green Loan Principles, 以下GLP）は、ローン・マーケット・アソシエーション（LMA）、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション（APLMA）、ローン・シンジケーション＆トレーディング・アソシエーション（LSTA）が2018年に発表した、グリーンローン借入に関する自主的ガイドラインである。金融市場における一貫性を向上させることを目指し、国際資本市場協会（ICMA） のグリーンボンド原則（Green Bond Principles）を参照して策定されている。

GLPは、4つの核となる要素で構成されており、主な内容は以下図のとおりである。

上記4つの核となる要素には含まれていないが、GLPには外部レビューの実施についても記載されており、グリーンローンの借り手は、必要に応じて、外部機関による評価の実施を行うことが推奨されている。

環境省のグリーンローンガイドライン

日本では、国内におけるグリーンローンの普及を図ることを目的として、2020年3月に環境省から「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」が発行された。

同ガイドラインは、GLPとの整合性に配慮しつつ、借り手、貸し手、その他の関係機関の実務担当者がグリーンローンに係る具体的対応を検討する際に判断に迷う場合に参考とし得る、具体的対応の例や国内の特性に即した解釈を示したものである。また、グリーンウォッシュを防止することにも留意しており、外部機関によるレビューについても、より具体的な事項が示されている。

国内におけるグリーンローン組成と事例

2017年に国内初のグリーンローンが組成されて以降、グリーンローンの組成数は増加している。

日本郵船の事例を挙げると、日本郵船は2018年に、メタノール燃料船建造資金を使途とするグリーンローンとして20億円の借入を行った。同グリーンローンによる調達資金は全額、新造メタノール専用船の建造費に充当されている。

メタノールを主燃料とする船の主機関は、硫黄酸化物（SOx）排出量を重油使用時と比べて約99％削減でき、適合油（低硫黄燃料油）使用時と比べても発電機を含めた船舶全体で約75%のSOx排出量削減が達成できるため、より環境に配慮した運航が可能になるという。

同グリーンローンに対しては、株式会社日本格付研究所（JCR）が第三者機関として外部評価を行い、GLPへの適合性について最上位評価である「Green1」の評価を取得している。また、JCRによる外部評価レポ―トも開示されている。

グリーンローンの今後

気候変動などの様々な環境問題への早急な対応が求められる昨今において、環境課題の解決を目指す資金調達方法として、グリーンローンへの関心は高い。COP26を機に「1.5度目標」や「ネットゼロ」といった世界共通の目標がますます重視されており、世界的に脱炭素に移行していくための資金需要は膨大である。

資金の使途が限定され、また透明性が担保されるグリーンローンは、トランジション・ファイナンスの重要なひとつのツールとして、今後もますます需要が増していくだろう。

【参照サイト】環境省グリーンファイナンスポータル
【参照サイト】グリーンローン原則（環境省仮訳）
【参照サイト】グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン
【参照サイト】国内におけるグリーンローン組成リスト
【関連ページ】サステナビリティリンクローンとは・意味

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