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トランジション・ファイナンスとは・意味

CO2

トランジション・ファイナンスとは?

炭素集約型事業や環境負荷の高い事業活動を、脱炭素型あるいは低環境負荷型に移行させるための投融資のこと。トランジション・ファイナンスの対象となる産業は、石油・ガスなどのエネルギー開発、鉄道・航空などのインフラ関連、鉄鋼業、セメントなどが挙げられる。

近年、世界的にトランジション・ファイナンスに関する議論が進んでいる背景には、未だ多くの国で、環境負荷の高い事業が経済活動の大半を占めているという現状がある。そのため、すでに環境問題の解決に貢献している事業(グリーンプロジェクト)に資金を供給するだけでは、気候変動抑制が十分に進まない。今現在は炭素集約型の事業であっても、技術革新などを通じて脱炭素型に移行する道筋が見えているのであれば、それらの活動にも資金を供給するべきという考えに基づいた投融資である。

経済産業省が国際的に発信する、トランジション・ファイナンス

日本政府は、トランジション・ファイナンスを推進する姿勢を強く示しており、その重要性を国際的にも発信していくという。経済産業省は2020年9月16日、脱炭素化に向けたファイナンスのあり方について、日本の考え方を国際的に発信する目的で、「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」を発表した。

同資料では、グリーンな取り組みか否かの二項対立の考えに基づいたファイナンスではなく、脱炭素への移行を進める企業や、温室効果ガス排出抑制のための技術イノベーションに取り組む企業に対しても、資金を供給していくことの重要性を説いている。

政府がこういった姿勢を強調する背景には、日本がこれまで注力してきた重工業や石炭火力発電の分野で、国際競争力を落としたくないという事情があるのではないかとも言われている。グリーンな取り組みだけを支援する姿勢を打ち出すと、上記の分野における日本の技術を輸出しにくくなるからだ。

「トランジション」の定義に注目

トランジションの概念は2019年から、欧州委員会がカーボンニュートラルの実現に向けて適格および不適格な投資分野を分類する仕組みである「EUタクソノミー」にも導入されている。世界全体で脱炭素社会にスムーズに移行するには、パリ協定の目標と整合するあらゆる産業や技術を排除することなく、包括的なアプローチをとることが大切だ。

今後は、何をもって事業が移行段階にあると判断できるのかを明確にする「トランジション」の定義や、移行の目標設定・プロセス・成果をどのように確認して評価するのかといった、トランジション・ファイナンスの具体的な方法論に注目していきたい。

【参照サイト】 6612faa1992d4fa77aa0c96aaf9d218a4.pdf (rief-jp.org) (P.6)
【参照サイト】 資料:トランジション(移行)ファイナンス・ガイダンス(TFSG : RIEF) | 一般社団法人環境金融研究機構 (rief-jp.org)
【参照サイト】 環境イノベーションを支える 「トランジション・ファイナンス」(経済産業省) (thefinance.jp)
【参照サイト】 「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」を取りまとめました (METI/経済産業省」
【参照サイト】 クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020
【参照サイト】 トランジション・ファイナンスに関するガイドライン、調査レポートの紹介 | グリーンファイナンスポータル (env.go.jp)

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