ストレージパリティとは・意味
ストレージパリティとは?
ストレージパリティとは、太陽光発電を採用する際に「蓄電池を導入しないよりも、導入したほうが経済的メリットを得られる状態」を指す。
太陽光発電は、陸地や建物の屋根などに設置されたパネルに光エネルギーを当てることで発電するしくみである。日中は光エネルギーで発電し、天候が悪い日や夜間など発電できない時間のみ、電力会社から供給を受けるスタイルが一般的だ。発電した電力が余った場合は、電力会社に買い取ってもらうことで電気代の節約もできる。このように、太陽光発電は環境にやさしく経済的メリットの多い方法として注目を浴びてきた。
ところが最近、一般的な電気料金の高騰や、電力の買取価格の下落が目立つようになっている。このままでは、太陽光発電を導入する経済的メリットが薄まり、普及が妨げられるおそれがあるのだ。
ただし発電した電気を後で使えるように蓄えておく「蓄電池」をあわせて導入することにより、この問題は解決する。理論上必要なすべての電力を太陽光発電で賄えるようになり、電力コストが限りなくゼロに近づいていくためである。
ストレージパリティの重要性
蓄電池とは、スマートフォンのバッテリーのように電気を貯めて繰り返し使うことができるもので、二次電池や充電池とも呼ばれる。この蓄電池の導入が進めば、より無駄のない安定したエネルギー供給が可能となり、社会のエネルギーシステム全体のコスト低減にも繋がる。
ただし蓄電池を普及させるには、「蓄電池を導入する方が、しない場合よりも電力コストが安くなる」という状況を作りだし、私たち消費者に導入へのモチベーションを与えなければならない。つまり、ストレージパリティの達成が必要不可欠といえるのである。
ストレージパリティ成立の条件
現在、太陽光発電におけるグリッドパリティ(=再生可能エネルギーの発電コストが、火力や原子力など既存の電力系統の電力コストと同等またはそれ以下になること)は達成されつつあるが、ストレージパリティは未達の状況だ。
経済産業省の「ソーラーシンギュラリティの影響度等に関する調査」報告書によると、蓄電池価格が6万円/kWhとなることで、ストレージパリティは達成可能とされている。そして2020年の後半には、太陽光発電設備と蓄電池を併せて導入する方が既存の電力コストよりも安い局面に入り、ストレージパリティを達成するとの見込みだ。
すでにストレージパリティを達成している諸外国の例も参考にしながら、今後もさまざまな取り組みや努力を重ねていくことが、達成への近道となるだろう。
ストレージパリティ達成までの道筋
日本ではストレージパリティを達成するための施策として、メーカーの開発によるコスト削減や、太陽光発電設備と蓄電池を併せて導入する事業者等への補助金交付を行っている。
直近の補助金制度では、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)がある。応募要項を満たし採択された事業者には、発電設備や設置にかかった費用などの一部が補助されるというものだ。
しかし、これらの施策だけではストレージパリティの達成は難しい。今後も、小売事業者が安定したビジネスを行うためのサービス提供や、各種設備のリース・レンタル等のビジネスモデルの拡大支援などを通して、さらに蓄電池の導入を推し進める必要がある。
私たち一般消費者は、まず今世界のエネルギー源が変化のさなかにあることを正しく認識することが必要だ。そして、環境への配慮と豊かな生活を両立させるために、最善の方法を選択しなければならないのである。
【関連ページ】グリッドパリティとは・意味
【参照サイト】経済産業省 – ソーラーシンギュラリティの影響度等に関する調査
【参照サイト】新電力ネット – 蓄電池の損益分岐点「ストレージパリティ」、FIT切れのPV設置ケースで2020年に達成予定
【参照サイト】京セラ – 太陽光発電システムの仕組み
【参照サイト】京セラ – 太陽光発電・蓄電池
【参照サイト】オムロン – 蓄電池まるわかりナビ