生理期間を快適にするフェムテック商品・サービス【まとめ】
「生理痛や頭痛がひどい」「イライラする」「気分が落ち込む」「量が多い日は漏れが気になる」「生理周期が乱れている気がする」……身体にも心にも変化が訪れる生理期間には、悩みがつきない。
近年、こうした悩みを解決する手段として注目を集めるのが「フェムテック」だ。フェムテックとはFemale(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた言葉で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる製品やサービスを指す。テクノロジーを使わずに女性の健康問題をケアする製品・サービス「フェムケア」と並んで、近年注目を集めている言葉である。
日本国内における2020年のフェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場規模は、前年比103.9%の597億800万円(※1)。世界では、2025年までに5兆円規模の市場になる(※2)と言われており、今非常に注目が集まる分野であることがわかる。
今回は、生理期間を快適にするフェムテック商品やサービスをご紹介したい。
購入が誰かの「支援」になる、生理用品のサブスクサービス
アメリカの生理用ナプキンのサブスクサービス「Cora」。自身のニーズに合わせて商品を選び組み合わせて購読すると、初回に3か月分の生理用品が届けられ、以降3か月ごとにリフィルが届く。さらに、商品を購入するたび、発展途上国の少女達に生理用品が寄付される仕組みとなっている。生理用品が買えず休学・退学せざるを得ない少女たちの自立を支援できるのもCoraのポイントだ。
Woke up in the *giving spirit* and we’re giving one person who retweets this post a YEAR worth of Cora! pic.twitter.com/3DUxQhOduR
— Cora (@CoraWomen) December 16, 2019
経血漏れを気にせず快適。吸水ショーツ
近年、さまざまなメーカーから登場している吸水ショーツ。ここでは、そのなかから2つの商品をご紹介する。
捨てずに使える、吸水ショーツ「Nagi」
SNSを中心に女性のエンパワメントをしてきたBLAST Inc.が開発したNagiは、ナプキンが要らない生理用ショーツ。ショーツ本体で経血を吸収できる作りになっており、洗って繰り返し使うことができる。また、日本の生地メーカーの生地を使用し、1枚1枚丁寧に人の手で縫製されているのもNagiの魅力のひとつである。
ティーンが安心して使える吸水ショーツ
ちょっと背伸びをしたい女の子のためのティーンズブランド「レピピアルマリオ」から登場したのは、ティーン向けの吸水ショーツ。ぬるま湯に浸したあとは、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗えるのでお手入れも簡単だ。また、子どもに与える前に自分で試してみたい、という親世代の意見を反映し、ティーン向けの商品と同時に、大人用吸水ショーツも販売している。
LINEで簡単に周期管理。パートナーへの共有も
ペアケアは、LINEを用いた生理日予測・パートナー共有サービスだ。アプリのダウンロード不要で、ペアケアのLINE公式アカウントを友だち追加するだけで利用を開始できる。生理期間の経血についてや、日頃の頭痛・腹痛などの症状や、メンタル面の調子を記録し、グラフで可視化。また、簡単にパートナーのLINEアカウントと情報連携ができ、自分の状況を間接的に伝えられるのも特徴である。
買い忘れと周期管理のストレスから解放。生理用品のIoT収納ケース
シャープ株式会社が開発中のフェムテック関連サービス「生理用品IoT収納ケース」は、生理用品をサイズ別に収納し定期的に使用状況をセンシングすることで、買い物時などにスマートフォンアプリで残量を確認できるというもの。いつもと同じように生理用品を使うだけで使用状況を分析し、周期を自動的に記録してくれる。本サービスは経済産業省の「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択事業にも選ばれており、実用化を目指して実証実験中(2022年3月現在)。
PMSや生理痛に。「ピル」の選択肢をもっと身近に
オンライン診療サービス「mederi」は、PC、スマートフォン、タブレット端末を通じ、ビデオチャットもしくは電話にて医師の診察が受けられるサービスだ。オンライン診療ののち、自宅にピルが届く仕組みになっている。
この投稿をInstagramで見る
ピルの飲み忘れをなくすスマートピルケース「Aavia」
こちらは、低用量ピル用のスマートケース「Aavia」だ。ケース内のセンサーと携帯アプリが連動し何時にピルを飲んだかを正確に記録。飲み忘れもリマインド通知してくれる。
この投稿をInstagramで見る
外出先で困るナプキンの捨て方に
友人やパートナーの家で、生理用品の捨て方に困ったことはないだろうか?そんなときに使えるのが、目立たず衛生的に生理用品を廃棄できる専用袋「ファブリトルバッグ」だ。中身が見えない不透明な袋には、片手で使えるようタブがついており、使用後はシールできっちり閉じられるようになっている。開発者のMartha Silcottによると、イギリスでは、250万個のタンポンと140万個の生理用ナプキンが毎日トイレに流されており、「生理用品をトイレに流すことによって起こる汚染を防ごう」と思い、この商品を開発したとのこと。
FabLittleBagの使い方を動画でご紹介します💚
フェムテックに国や言語は関係ない。
世界中の誰が見ても理解できるように、という思いを込めて文字を入れない動画にしました🙌
SMART PERIODS FOR EVERYONE. pic.twitter.com/I1lVF02x7u— FabLittleBagJapan ファブリトルバッグジャパン (@fablittlebagjp) June 25, 2020
薬に頼らない生理痛解消法「Livia」
薬を使わずに月経痛を緩和できる、イスラエル生まれのウェアラブルデバイス「Livia」。マイクロパルスを発し中枢神経を占領することで月経痛の信号を受信させないようにする技術を使用している。2016年以降様々な臨床試験が行われ、世界中の15万人の女性の痛みを和らげてきた。
この投稿をInstagramで見る
まとめ
痛みや不安、イライラ、不快感など、生理にまつわる悩みに「我慢する」以外の解決法を与えてくれるフェムテック。これまでタブーとされてきたような悩みや痛みに寄り添い、個々人のウェルビーイング実現を目指す技術の数々にさらなる期待が集まる。生理の日が近づくと思わず憂鬱になってしまう……そんなあなたはフェムテックの力を借りてみてもいいかもしれない。
※1 フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2021年)
※2 Femtech Digital Revolution in Women’s Health (Frost and Sullivan)