仕事を中断させられることにはメリットがある。米国の研究

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新型コロナウイルスの感染状況が比較的落ち着き、オフィス勤務に戻り始める人が多い昨今。久々のオフィス勤務で、上司からの突然の指示、同僚との情報共有、部下からの急ぎの報告などがあり、「在宅勤務のときより仕事を中断させられることが多いな」と感じる人もいるのではないだろうか。Forbesによると、オンライン調査で「仕事中に頻繁に作業を中断させられることがある」と回答した人は、71%にも及んだという。(※)

一般的に仕事の中断は、作業をする時間が減ったり、集中力が低下したりと、ネガティブな観点から語られることが多い。しかし、2021年にイリノイ大学シカゴ校の助教授などが発表した研究によると、仕事の中断には社員がコミュニティに属していることを感じ、会社に「居場所」があると思えるポジティブな側面があるかもしれないという。なぜなら、仕事を中断させられることで相手との会話が始まり、相互に交流が生まれるからだ。

この研究を発表したハルシャド・プラニク氏によると、相互交流が生まれるというプラス面は、作業が止まってしまうというマイナス面を打ち消すことができるという。また、最近発表された別の研究によると、仕事を中断して雑談をすることにもプラス面があるそうだ。作業は止まっても、職場に自分の居場所があるという意識が育まれることで、仕事に対する満足度が高まる可能性があるのだ。

新型コロナによる外出自粛などを経て、私たちは他者と共に生きる社会的な存在であることを、改めて認識した人が多いのではないだろうか。仕事の場面に限らず、社会的交流を持つことは、私たちのウェルビーイングの実現に欠かせない。「仕事の中断はすべて邪魔」という考え方でいると、そのプラス面を上手く活用するチャンスを逃してしまうかもしれないのだ。

プラニク氏は、仕事の中断によるマイナスの影響を抑えつつ、ポジティブな側面を活かすためのアドバイスとして、「頻繁には中断しない」「相手の仕事を中断させる場合は、相手を気遣う言葉を添える」「仕事の進め方をある程度自分で管理し、仕事の中断に柔軟に対応できる余地を残しておく」といった工夫を紹介している。

多くの人がいる職場で、仕事の中断を完全に無くすことは困難だ。それならば、「中断は避けるべきもの」という考えを少し変えて、中断や雑談を上手くコントロールするという視点で取り組んでみてもいいのではないだろうか。

職場で避けられない「仕事の邪魔」との付き合い方 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

【参照サイト】 APA PsycNet

Edited by Erika Tomiyama

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