難民から起業家になれる。自立を促す英国のショップ「Anqa Collective」

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「Anqa Collective」というイギリスのネットショップでは、ネイルサロンのギフトチケットを購入したり、シリア料理のケータリングを注文したり、カメラマンによる撮影サービスを予約したりすることができる。

ネイルサービスを提供するネジャット・サリー氏は、14歳のときに母国のエリトリアを離れ、イスラエルで5年間過ごした後にイギリスにやって来た。シリア料理を提供するマジェダ・クーリー氏は、母国のシリアで人権活動をしていたために投獄され、国を離れないといけなくなり渡英した。カメラマンのアイシャ・セリキ氏はナイジェリア人で、8歳のときに家族と東南アジアを離れて以来、イギリスで暮らしている。

多様で複雑なバックグラウンドを持つ彼女たちは、実は難民だ。Anqa Collectiveは、難民の起業家が提供する商品やサービスを購入できるネットショップなのだ。

Anqa Collectiveを運営するのは、ロンドンに拠点を置くNPOの「The Entrepreneurial Refugee Network(難民起業家ネットワーク)」だ。同団体は、難民が自らのアイデアによって成長することをミッションとして掲げ、起業したい人にトレーニングやネットワーキングなどの機会を提供している。

Anqa Collectiveは2020年7月に始まり、2022年5月現在は約15人の起業家が、アクセサリー、Tシャツ、クッションカバー、カトラリー、マスク、コーヒー、はちみつなど、さまざまなものを販売している。

彼らがなぜその商品やサービスで事業を始めようと思ったのか、ネットショップで自己紹介と共に説明されているので、興味のある人は見てみるといいだろう。

祖父が母国のシリアでミツバチを飼っており、自身もメンタルヘルスケアのためにミツバチを飼い始めたという人や、パキスタン出身でロンドンに来てからコーヒーカルチャーに目覚めた人など、経緯はさまざまだ。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2022年3月、ウクライナ危機により、第二次世界大戦以降では最も急速に拡大する難民危機が起こっていると発表した。受け入れ国で、どのように難民の自立に向けた支援をすればいいのか、今後考える機会が増えるのではないだろうか。

雇われて働くのもひとつの道だが、好みや適性は人それぞれだ。起業するという選択肢も、自然に提示される世の中であってほしい。

【参照サイト】Anqa Collective – Anqa Collective
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