米・ミネソタで誕生した、州史上初「全員女性」の議会

2024.03.08

Souma Motomi

質問する議員、答弁する総理大臣、議事堂の席に座る議員たち。子どものころにテレビで放映されていた国会中継で目にしていたのは、大勢の「男性の集まり」だった。そしてそれは、2024年の今でもあまり変わっていない。

政治は男性がやるものだ──知識の無い頃からそうした男性ばかりの政治の世界を見続けてきたことで、そんなステレオタイプが醸成されてきた人も多いのではないだろうか。

しかし、そんな「当たり前に見える光景」が、変わろうとしている。2023年11月、アメリカ・ミネソタ州の州都であるセント・ポールで、「女性だけの」市議会が誕生したのだ。これは州史上初であるだけではなく、同国の主要都市の中でも初めてのことだという。

7つの議席を勝ち取った7人の女性たちは、全員40歳以下だ。議会の高齢化が叫ばれるアメリカでは、「若手」に分類される年齢層だろう。

さらに、その民族的バックグラウンドもさまざまだ。例えば、Mitra Jalali氏は、イランから移民として訪れた両親を持つ。Nelsie Yang氏は、東南アジアの山村で伝統的な暮らしをする少数民族Hmong(モン)の難民としてアメリカに渡った家族の出身だ。Hwa Jeong Kim氏のルーツは、韓国にある。この多様さは、「セント・ポール史上最も多様性のある議会だ」と評され、それぞれの視点を政治に反映することが期待されている。

彼女たちは、いずれも「全ての人に安全で手頃な住宅を」「包括的で安全な地域を」「清潔で信頼できる公共交通を」といった、地域コミュニティの暮らしを直接的に向上させる政策を掲げている。近年セント・ポールでは、住宅不足と価格の高騰が深刻な社会課題となっており、人々は女性政治家にその解決に向けた大きな期待を寄せているのかもしれない。子どもの教育環境や大気汚染の改善、気候変動へのアクションを掲げる議員も多い。

2023年のPewリサーチセンターのレポートによれば、アメリカの女性政治リーダーの数は伸び続けているといい、2024年時点でその比率は28%を超えている。一方で日本は16%にとどまる(※)

今回設立された新しい議会について、Mitra Jalali氏は「女性だけの議会が生まれることは、特別な話であるべきではなく、どんなコミュニティでも経験できる、ごく普通の出来事であるべきです」と、Guardianに語っている。

女性政治家が増えると、政策の多様化や議会の透明化が進んだり、教育や福祉といった分野に予算がより多く割かれる傾向があるという。また、気候変動対策が進むとする研究もある。

「全ての政治家が女性になれば良い」というわけではない。だが一方で、男性が過半数を占め、一部では男性のみで構成される議会が当たり前になっている現状に対して、全く疑問を持たないことがどれだけ不自然なことか。今回のセントポール議会のニュースは、そんなことに気づかせてくれる。

就任式が行われたのは2024年1月だ。7人の女性がこれからセント・ポールをどう率いていくのか。今後も引き続き注目していきたい。

世界の女性議員割合 国別ランキング・推移

【参照サイト】Showing the world what’s possible’: St Paul makes history with first all-female city council
【参照サイト】Mitra Jalali
【参照サイト】Nelsie Yang
【参照サイト】Hwa Jeong Kim
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この記事を書いたライター

相馬 素美

Souma Motomi

相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。(この人が書いた記事の一覧