子どもたちが描いた「I voted」ステッカーが、米国で投票率アップに貢献

Browse By

今週末、2024年10月27日(日)は、衆議院議員選挙の投票日だ。

選挙──行かなきゃいけないのかな。ああ、休みなのに面倒だな。そんなふうに思っている方もいるかもしれない。

国政選挙の投票率は近年低下している。昭和時代には7割を超えることが一般的だったが、平成、令和と時代が進むにつれて大きく下がり、たとえば2021年10月に行われた衆議院議員選挙の投票率は55.93%、2022年7月の参議院議員選挙は52.05%で、半分近くの人々が棄権している(※)。果たしてこうした状況で「民主的に代表を決めた」と言い切れるのだろうか。

そんな中、今日本だけでなく世界中で、投票率を上げるアイデアが模索されている。大統領選挙を2024年11月5日に控えるアメリカで、ある一定の効果のあった方法がシェアされている。投票するともらえる、「投票しました」と書かれたステッカーだ。シンプルな方法ではあるが、特徴的なのは、そのステッカーをデザインするのが州の学生や住民であるということだ。

ステッカー

ミシガン州で優勝したデザイン Image via Michigan Department of State

シカゴ大学による2016年の研究によると、投票したことが他の人に知られるとわかると投票への意欲が高まるという。ステッカーは、「投票に行こう」と他の人々を刺激し、自分も満足できる、そんな役割を果たすのだ。

このステッカーのユニークなところは、徹底して「市民参加型」である点だ。例えばミシガン州の場合、子どもたちの描いた絵をステッカーデザインコンテストで公募した。コンテストには480点もの応募があり、学生たちのグループが最終候補作を選ぶ。最終的に57,700票の一般投票で選ばれたという、栄誉ある作品たちなのだ。

今回、ミシガン州では12歳の少女の描いた、アメリカ国旗の前でシャツを引き裂くオオカミ男、というなかなか独創性に溢れる作品などが選ばれている。将来を担う子どもたちが選挙という市民活動に参加し、さらに市民が選んだ、完全なる「市民参加型」のステッカーは、多くの人々の興味を惹きつけている。

Elementary / Middle School Winner - Created by Jane Hynous of Grosse Pointe, a student at Brownell Middle School

Elementary / Middle School Winner – Created by Jane Hynous of Grosse Pointe, a student at Brownell Middle School

ニューヨーク州アルスター郡では、2年前に選ばれた「怪物クモ」のステッカーが、SNSで拡散されて大人気に。続く今回は、中学生の描いたネコの作品が70票差という僅差で選ばれた。選挙管理委員会は次のようにWebメディアFASTCONPANYへの取材に対して語っている。

「私たちは、地元の若いアーティストがデザインしたユニークな『I voted』ステッカーをつけることが、ウルスター郡での投票の一番の楽しみだと言う、あらゆる年齢層の有権者から常に圧倒的に好意的なフィードバックを受けています。投票所のスタッフも、ステッカーを配るのが仕事で一番好きな部分だと言っており、投票所に前向きで心温まる雰囲気を作り出すのに役立っているそうです」

選挙は本来、民主主義のお祭りであるとも言える。オーストラリアでは投票所に屋台が集結。有権者たちは「民主ソーセージ」をおいしく楽しむことができる。韓国のスタートアップは、投票すると宝くじに当たる可能性がある「投票ロト」を検討したことまである。

世界はあの手この手で投票率アップを図っているが、人々のマインドを投票に「行かなきゃ」という義務感ではなく「行って楽しい」「面白い」と思えるような仕組みを作ることも一つの手かもしれない。ミシガン州でオオカミ男の絵を描いた12歳はワシントン・ポストにこう語っている。

「投票というのはとても深刻なトピックでしょう。だからこそ、それを明るくするような楽しいことをしたい」

次の日曜日、あなたは投票に行くだろうか。

アイキャッチ画像:Elementary / Middle School Winner – Created by Katelyn Stouffer-Hopkins of Lansing
総務省公式ホームページ 国政選挙における投票率の推移
【参照サイト】Secretary Benson announces 2024 ‘I Voted’ sticker design contest winners
【参照サイト】How kid-designed ‘I voted’ stickers became a voter turnout success story
【参照サイト】This ‘unhinged’ werewolf has already won Michigan’s election season
【参照サイト】ソーセージと選挙 おいしい関係
【参照サイト】「投票して宝くじ当選の機会を掴んで下さい」国民投票ロト登場

Edited by Erika Tomiyama

FacebookTwitter