時を刻むガラクタ。英国発、電子廃棄物をアップサイクルした「ごみ時計」

2020.09.18

Souma Motomi

あなたはこの記事を、スマートフォンで読んでいるだろうか?それとも、パソコンだろうか。いずれにせよ、私たちの生活に便利で魅力的な価値を与えてくれるデジタルデバイスや電子機器は現代では欠かせない。そして、大手ITメーカーから次々と発売される新製品に魅了され、自分のデバイスがまだ使えるにもかかわらずそれを交換する人も多い。しかし、廃棄された電子機器はいったいどこへ行くのだろうか。

近年、世界が抱える電子廃棄物(E-waste)の問題は深刻になっている。国連のグローバル電子廃棄物統計パートナーシップのレポートによると、2019年に世界で生まれた電子廃棄物は5,360万トン近くにのぼり、2030年までに7,470万トンに達すると予測されている。そして、先進国で廃棄された電子廃棄物のほとんどは、最終的にガーナやインドなどの発展途上国に捨てられているという事実がある。電子廃棄物の焼却の際に出る有毒ガスは人体への悪影響や環境汚染の原因となっており、非常に危険だ。

そんな電子廃棄物の問題を考えるきっかけになるユニークな時計を、イギリスのメンズアパレルブランドVOLLEBAKが2020年7月に発表した。

image via Vollebak

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「Garbage Watch(=ごみ時計)」と名付けられたこの製品は、電子廃棄物となったコンピューターのマザーボード、スマートフォンのマイクロチップ、またはテレビの配線をアップサイクルして作られている。中身が丸見えでカラフルなデザインは、つけているだけで周囲の目を引き、会話のきっかけにもになりそうだ。

VOLLEBAKはGarbage Watchの紹介ページで、「毎年廃棄される電子廃棄物には、銀、プラチナ、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウム、亜鉛など、世界の多くの貴金属が含まれ、世界の金の7%が含まれている。」と訴えており、電子廃棄物の見過ごされている価値について強調している。

image via Vollebak

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VOLLEBAKは、科学とテクノロジーの力を活用し、持続可能で斬新なアイデアの洋服を制作するメンズアパレルブランドだ。これまでに、100年着ることができる耐久性のベストやパンツ、植物からできた正分解可能なTシャツなどを開発しており、TIMEやFast Companyといった大手メディアからイノベーションアワードも受賞している。

同社は現在公式サイトから、2021年の発売に向けてGarbage Watchの先行予約を受け付けている。

この時計に使用される素材は、電子廃棄物全体の総量からすると微々たるものだろう。しかし、誰かがこの時計を身に着けることで、電子廃棄物の第二の人生の大きな可能性を伝えることができる。「電子廃棄物が、廃棄物でなかったら?」というシンプルな問いかけから生まれたこの時計は、価値がないと思い込んでいたたものに目を向けると、その先には思いもしなかったユニークな世界が広がっているかもしれないということを、私たちに教えてくれるようだ。

【参照サイト】Vollebak

この記事を書いたライター

相馬 素美

Souma Motomi

相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。(この人が書いた記事の一覧