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ビオトープとは・意味

ビオトープ

ビオトープとは?

ビオトープは、動物や植物が安定して生活できる生息空間(生物生息空間)のこと。ドイツで生まれた概念で、「bio(命)」と「topos(場所)」というギリシア語を組み合わせた造語だ。川やアマゾンの雨林などの大きな空間から、池や小鉢などの小さな空間まで、魚や虫、多様な微生物が住まうところはビオトープと呼ばれる。

ドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルが、著書「一般形態論」(1886年)で生物存在の前提条件としての生息域の概念を強調し、水、土、地理等の環境要素や生物の相互作用により形成される生物群系について説明した。それをベルリン動物学博物館の動物学者、フリードリヒ・ダール教授が1908年に「ビオトープ」と呼んで一般に広まった。

人は歴史上、常に自然と隣り合わせに生活してきた。自然は、恩恵をもたらす一方、時には災害で人の暮らしに甚大な被害をもたらすこともある。そこで人々は、自然を統制することを試みた。河川から水が氾濫しないように、コンクリートを打って両岸に切り立った護岸を建設する工事も行われた。これで洪水は防げるようになったが、人を守る事ばかりに神経を集中し過ぎて、数々の自然環境破壊が行われてきた。

コンクリートの護岸では、当然だが水際に植物が育たない。それは水中の生物にも影響を与え、以前は生息していた場所から、完全に姿を消した種もある。またいくつかの種が消えると、連鎖するように昆虫、水鳥、哺乳類の生息域も奪われる。本来あった川の浄化作用は失われ、水質は悪化し、それはやがてその水を利用する人間にも、しっぺ返しとして返ってきた。そこで改めて注目されたのがビオトープだ。

見直される自然環境の保全と修復

ビオトープは、防災には配慮しつつも、より自然の状態に近い形にし、動植物の生息環境を残す。また、すでに環境が失われている場合は、人の手でビオトープを作り出す。コンクリートを打たずに、土を盛り岸辺を緩やかな傾斜にして石を敷くといった工法も採られるようになった。

他の例では、農場で、土地の全てを耕地にしてしまうのではなく、林や茂みを一部に残すといったものもある。畑には土があり、作物となる植物が育てられるが、それは元々あった自然とは、必ずしも同じものではなく、自然破壊になり得る。そこで耕地を開拓する際に、完全に自然の生態系を排除するのではなく、ビオトープとして残しておく。

より身近な例では、屋上を利用してガーデニングを行うこともそうだ。庭につくった池やベランダの水槽で、水草を浮ばせタニシを這わせて、魚を飼うといったものが、ビオトープと呼ばれることもある。このように、さまざまなやり方で生物多様性の確保をすることで、人々は自然との共生を目指している。