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ジェネレーション・レフトとは・意味

ジェネレーション・レフト

ジェネレーション・レフトとは

ジェネレーション・レフトとは、格差の是正や気候危機への対応を求め、社会運動を繰り広げる若い世代を指す言葉である。イギリスの政治理論家、キア・ミルバーンが自身の著書「ジェネレーション・レフト」で提言し、世界中に知られるようになった。

格差問題や気候変動など社会課題に興味、関心が高いZ世代ミレニアル世代が中心となっており、世界中で注目を集めている。

「レフト」という言葉が用いられているのは、この世代の多くに、資本主義を見直し社会主義を肯定的に捉える左派的な主張に共感している傾向が見られるためである。

ジェネレーション・レフトの動きが活発なアメリカで2020年に実施した世論調査(※1)では、社会主義に好意的な人は前年の36%から40%に増加し、Z世代では前年の40%から49%まで増えていた。

ジェネレーション・レフトが誕生した背景

2008年のリーマンショック以降、世界経済は長期的に停滞し「持つ」者と「持たざる」者の間で格差が拡大した。その負の影響を大きく被っているのがZ世代・ミレニアル世代だ。巨額の学費を支払うためにアルバイト漬けになったり、学生ローンを組んだり……だが、そうまでして大学を卒業することができても、安定した職に就ける保証はない。住宅の購入や結婚、子どもを持つことが困難になってきてもいる。長期にわたり経済が停滞するなかで、若者たちが明るい未来を描きづらくなっている──そんな「格差」や「分断」が、ジェネレーション・レフト対等の背景にあるのだ。

また、こうした経済の停滞や格差問題に対して、能動的に声をあげる運動が世界的に拡大していったこともジェネレーション・レフトの台頭の一因である。例えば、学生などの若者を中心に、高額所得者に対する税制優遇措置や金融関連企業を代表とする企業減税の廃止を求めたウォール街占領運動や、政府の経済政策を批判するスペインの15M運動などだ。「ジェネレーション・レフト」監訳の斎藤氏は、こういった運動に参加した若者は、国際的な抗議運動への能動的な参加という共通体験を通して、自分たちの力で新たな社会を生み出せるという確信を得ていったと述べている。

アメリカでの動き

特にジェネレーション・レフトの動きが活発なのはアメリカである。「持たざる」者の貧困を自身の生活で経験している若者たちが中心となり、政治を動かしている。

アメリカ最大の社会主義団体、「米国民主社会主義者(DSA)」のメンバーの平均年齢は68歳から33歳に若返っている。また、先述の調査でも、Z世代の約半数が社会主義を肯定的に捉えている。

2020年大統領選挙でのバイデン氏の勝利には、ジェネレーション・レフトがいかに政治を大きく動かしているかが見てとれる。

バイデン氏は最低賃金15ドルへの引き上げ、幼児教育無償化、子育て世帯の支援拡大、医療保険の充実、気候変動対策での巨額支出など社会主義的な政策を掲げて若者からの支持を獲得した。結果、民主党のバイデン氏への投票割合は30〜44歳で52%、18〜29歳で60%に上った。一方、共和党のトランプ氏への45歳以上の投票割合はバイデン氏を上回っていたことから、バイデン氏の勝利には、ジェネレーション・レフトを中心とする若者の存在が大きいといえる。

ヨーロッパでの動き

ヨーロッパでもジェネレーション・レフトが政治運動において中心的な役割を果たしている。イギリスでは、社会主義者を公言する労働党のジェレミー・コービンが格差是正などを訴え若者の支持を集めたため、党首に選出。スペインでは先述の15M運動の活動家によって支持されるポデモスという新興政党が注目を集めている。メンバーの大半が30代であり、政策決定の段階から市民に参加してもらう新しい政治のかたちを体現しているのだ。

日本でジェネレーション・レフトはひろがるのか

2021年10月に行われた第49回衆議院議員総選挙の投票率(※2)は、10歳代が43.21%、20歳代が36.50%、30歳代が47.12%だった。全年代を通じた投票率の55.93%と比較すると、まだ若者の投票率は低いのが現状だ。アメリカやヨーロッパのように若者が政治に大きな影響力を持っていないと言えるだろう。

しかし、日本のZ世代やミレニアル世代は、諸外国の若者と同様に社会課題に関心度が高い世代である。気候変動や貧困問題に声をあげる学生団体や若い団体は多い。難民の対応をめぐった入管法改正案への署名活動も記憶に新しい。

日本の若者が解決を目指す社会課題と政治は密接に絡み合っており、社会的構造や社会体制を変革する必要がある。今後さらに日本でも、より良い社会を目指す若者の力は、政治的方面へも存在感を増していくのではないだろうか。

※1 「社会主義化」するアメリカ(瀬能繁 著)
※2 国政選挙における年代別投票率について(総務省)

【関連ページ】Z世代
【関連ページ】ミレニアル世代
【参照サイト】若者が「左傾化」日本でもありえる? 世界各地では年齢が分断の要素に(NPO法人POSSE代表 雇用・労働政策研究者 今野晴貴)
【参照サイト】「ジェネレーション・レフト」 アメリカで、日本で、若い私たちが政治を変える(東京新聞)
【参照サイト】左傾化する若者「ジェネレーション・レフト」の祖先(東洋経済)
【参照サイト】気候変動という「人新世」の危機。 ジェネレーション・レフトの叫びにバイデンは応えられるのか(朝日新聞)
【参照サイト】バイデン氏、政府契約企業の最低賃金上げ 課税強化も(朝日新聞)
【参照サイト】「ウォール街占拠運動」が全米に拡大(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
【参照サイト】スペインで躍進する若者政党・ポデモスはなぜ幅広い支持を集めているのか?(HUFFPOST)

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