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ハウジングファーストとは・意味

ハウジングファーストとは

住まいを失った人々への支援の際、安心して暮らせる住まいを確保することを最優先とする考え方。「住まいは人権である」という考えのもと、家は無条件で提供され、ホームレス状態にある本人が自らついて意思決定をすることが大事にされる。

1990年代にアメリカで始まったハウジングファースト方式のホームレス支援は、カナダ、フランス、スウェーデン、スペイン、ポルトガル、オランダ、オーストラリアなど、欧米のホームレス支援の現場では一般的になりつつある。重度の精神障害を抱えるホームレスの方の支援でも有効であることが実証されており、社会的な負担が少なくなることも調査によって明らかになっている。

従来のホームレス支援との違い

ハウジングファースト以前のホームレス支援のあり方は、行政が「家に住むこと」についての決定権を持ち、自立支援が中心に行われた。「ホームレス状態にある人々、特に精神や知的の障害を持っている人たちは、居宅に住むための準備期間が必要である」という考え方のもとで、まずは施設に入ることが促された。シェルターや精神科病院、グループホームなどの施設で治療や生活訓練を行い、就労を確保してはじめて、アパートへの入居が可能になる形だ。しかし、この方法では途中でドロップアウトしてしまい路上生活に戻るケースが多く、問題視されるようになった。

一方、ハウジングファースト型の支援は、ホームレス状態にある人々に対して民間が借り上げた住宅を無条件で提供し、精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、ピアワーカーなど多職種からなるチームと地域が連携し、その人を支えていくという手法がとられる。この支援方法では、住まいは基本的人権であること、地域に分散した住居や独立したアパートであること、本人の選択と自己決定を尊重することなどが前提とされ、これまでホームレス状態にあった人が、地域に生きる一人として生きていけるようになることを目指している。

日本のハウジングファーストプロジェクト

日本で2010年、日本全国の3団体で始められた「東京プロジェクト」は2017年に7団体に広がり、現在は「ハウジングファースト東京プロジェクト」という名で活動を行っている。

具体的な活動内容は、住まいを提供した後の「居場所」の提供や社会性を回復するためのグループ活動(料理や農業、パソコンなどの学習など)を含むリハビリプログラムや、夜回りや炊き出し、関係性構築の場を提供するファーストアプローチ。また、ケアマネジメントや医療保険活動、行政や教育機関へのアプローチなどのアドボカシーや支援者への支援。ハウジングファーストの実現に必要なアパートの借り上げなどのため、クラウドファンディングにも挑戦する。2019年4月には、約170人が同プロジェクトの支援を受けて生活していた。

2019年、日本にいるホームレス状態の人の数は4555人だった。しかし、ここには路上生活者のみが含まれ、その他住まいを失う可能性がある人、ネットカフェや友人の家で生活する人などは含まれない。また、感染症のまん延によって、家にとどまることができない人の存在、安定した家がないことのリスクが明らかになった。日々変わる状況を受け、今後ホームレス支援のあり方もまた、変わっていくかもしれない。

【参照サイト】MEDECIN DU MONDE ハウジングファースト東京プロジェクト
【参照サイト】MOTION GALLERY
【参照サイト】THE BIG ISSUE ホームレス問題の現状
【参照サイト】THE BIG ISSUE ONLINE 自立するためには、まず安定した住まいを:ハウジングファーストという考え方
【参照サイト】NHK 東京”ホームレス” (3) ハウジングファーストという考え方

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