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パラシュートジャーナリズムとは・意味

パラシュートジャーナリズム

パラシュートジャーナリズムとは?

パラシュートジャーナリズムとは、普段は取材の対象としていない国や地域に、取材だけを目的に短い期間だけ訪れ、表面をなぞっただけの報道をすること。海外通信モデルとも呼ばれるこの手法は、世界各国のメディアで広く採用されている。

たとえば、世界を揺るがす事件がある国で起きたとする。各メディアは近隣国に滞在する外国特派員や自国の記者を現地へ向かわせ、言語や習慣、文化など、現地の情報を十分持たないまま取材を行う。

つまり、パラシュートジャーナリズムは、対象地域での取材経験の乏しいジャーナリストが、海外のニュースを国内の視聴者に届けるために対象地へ降り立ち、短期間のみ取材活動を行って「現地報告」をすることを指す。その様子を、パラシュートを背負って対象地に降り立つ姿に例えている。

パラシュートジャーナリズムの具体例

具体的に、どのようなものがパラシュートジャーナリズムといえるのか。

2021年2月1日、ミャンマーで軍によるクーデターが起き、大統領や国家顧問のアウン・サン・スー・チー氏らが拘束された。国内が混乱を極めるなか、アメリカのテレビ局CNNは4月5日、“独自取材”と銘打ってミャンマーの様子を報道。現地入りしたロンドン在住の特派員がミャンマーの状況を全世界に届けた。

一見、CNNの功績をたたえるべきに見えるが、CNNの報道内容や姿勢はいくつもの議論を巻き起こした。一部を抜粋する。

まず、CNNは「軍事政権発足後、最初に足を踏み入れた海外メディア」であることを強調した。しかし、「メディアが現地に足を踏み入れた」こと自体がニュースになっており、ミャンマーに関する新しい情報は報道されなかったと他のジャーナリストやメディアから指摘されている。短期間の現地取材で得られる情報は少なかったのかもしれない。

また、CNNメディアの「国際ジャーナリストは軍事政権発足後、ミャンマー国内に入ることができなかった」との発言も批判を浴びた。現地には、命がけで取材を続けるジャーナリストがいたにもかかわらず、その存在を無視し(または気付かず)、誤った情報を発信したのだ。

さらには、クーデターを起こした側の軍同行のもと取材をしていたことも明らかになり、情報の公平性に疑問を投げかける声も挙がった。

パラシュートジャーナリズムはなぜ問題なのか

パラシュートジャーナリズムの問題点として、事件や出来事の重要な背景や事実を見逃す可能性が指摘されている。

ジャーナリズムとはさまざまな種類があるが、背景にある複雑な事情までを把握した上で、歪みなく事実を伝えることも重要である。数日前に現地に降り立ったジャーナリストが、表面にある事実を捉えられたとしても、なぜそういった自体が起こっているのか、現地の人々はどのように捉えているのかなど、どこまで本質に迫れるのだろうか。

現地では、フィクサーと呼ばれる協力者が取材を手伝うこともあるが、その情報が偏っていれば、誤ったイメージや情報を発信することにつながり兼ねない。また、現地で情報を提供する地元ジャーナリストの存在を伏せて、あたかも独自情報のように国際メディアが報道するケースも度々問題視されている。

一方で、パラシュートジャーナリズムにはメリットもある。普段関わることのない第三者の新しい視点によって、見落としていたポイントに気が付けたり、ニュースを違う視点から切り取ったりと、国際的な注目や問題提起を深める役割を担っている。

国際メディアには、パラシュートジャーナリズムの問題点を意識しながら、表面的ではなく本質に迫った地道で継続的な報道が求められている。それには、現地を拠点にするメディアやジャーナリストとの連携強化が鍵となるだろう。

【参照サイト】Parachute journalism goes away for good
【参照サイト】How CNN’s Myanmar Trip Started a Debate Over Parachute Journalism

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