ポジティブスクリーニングとは・意味
ポジティブスクリーニングとは?
ポジティブスクリーニングとは、ESGの観点から評価の高い企業やセクターを投資対象とする、ESG投資の代表的な手法のひとつである。
ESG投資とは、投資判断の際に、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)などの非財務情報を考慮する投資手法であり、Global Sustainable Investment Alliance(GSIA)によると以下の7つの手法に分類されている。
1.ネガティブスクリーニング
2.ポジティブスクリーニング
3.規範に基づくスクリーニング
4.ESGインテグレーション
5.サステナビリティテーマ投資
6.インパクト投資
7.エンゲージメントおよび議決権行使
ポジティブスクリーニングの方法
ポジティブスクリーニングで投資先を選定する際には、企業が開示するESG情報や非財務情報(「統合報告書」や「サステナビリティ・レポート」などの年次レポートやウェブサイト掲載情報など)やIR情報などを参考にするほか、外部機関が発表している企業のサステナビリティ格付けやESG指数(インデックス)を活用する場合が多い。
代表的なサステナビリティ格付け・ESG指数として、グローバルでは「FTSE4Goodインデックス」や「Dow Jones Sustainability Index(DJSI)」、「Carbon Disclosure Project(CDP)」などがあげられており、いずれも企業のESGやサステナビリティに関する取り組みとその結果を投資家に伝えることに大きな役割を果たしている。
日本においては、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用しているESG指数が注目されるケースが多い。例えば、GPIFは日本株を対象として「FTSE Blossom Japan Index」、「MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」、「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」を採用しており、外国株式を対象とした指数としては「MSCI ACWI ESG ユニバーサル指数」を採用している。これらの指数に選定されている銘柄は、ESGの観点で比較的パフォーマンスが高いとされる。
一方で、ESGの格付けは財務分析とは異なり歴史が浅く、その評価手法についてはスタンダードとなるものが現時点では確立されておらず、ESG格付け機関の間で評価に差があるため、投資検討の際のあくまでひとつの要素として参照するのが適切であるとされている。ポジティブスクリーニングによる投資先選定の際には、企業が開示する情報や外部格付け機関による評価のほか、投資家と企業との対話も重要であると言える。
GSIAによる投資手法別のESG投資残高調査(2020年)によると、ポジティブスクリーニングの投資残高は1兆3840億ドルであり、全投資残高(約35兆ドル)の4%程度であった。
【参考資料】Global Sustainable Investment Alliance (GSIA), Global Sustainable Investment Review 2020