SATOYAMAイニシアティブとは・意味
SATOYAMAイニシアティブとは?
SATOYAMAイニシアティブとは、生物多様性の保全と人間の福利向上を両立させる里山のような地域を通じ、自然共生社会の実現を目指す国際的な取組のことである。
SATOYAMAイニシアティブが目指すのは、自然の恵みを持続可能な形で利用・管理することと同時に、生物多様性の保全も行う人間社会の実現である。
例えば、かつて人は薪を取るために山に入ったとしても、すべての木を切り倒すわけではなく、必要なぶんだけ伐採した。こうして山を管理することにより、日陰であった場所が日向になり、そこにまた新たな種が誕生するような循環が生まれる。
日本も含めた世界中のさまざまな地域では、伝統的に自然と人間が共生する手法が構築されてきた。その伝統的な手法を学び、現代に合った形に再構築することで、脱炭素や循環経済の実現とのシナジーも期待されている。
SATOYAMAイニシアティブの歴史
SATOYAMAイニシアティブの概念に関して、本格的に議論が始まったのは2009年。2009年7月には東京、10月にはマレーシアのペナンで2回に渡る会合が開かれ、SATOYAMAイニシアティブの活動分野の明確化が図られた。
そして、2010年1月にパリで開催された「SATOYAMAイニシアティブに関する国連有識者会合(パリ会合)」にて、SATOYAMAイニシアティブに関するパリ宣言が採択された。
同宣言は、2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回条約国会議(CBD COP10)にて、SATOYAMAイニシアティブが承認される際の基本文書となった。
SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)が、取組の促進と知見の共有を目的に創設されたのもCOP10会期中であり、2010年は大きな契機の年となった。
今後のSATOYAMAイニシアティブへの期待
2010年のCOP10で議論となり、2020年までに達成しようと立てられて「AichiBiodiversity Targets(愛知目標)」は、残念ながら完全に達成される目標は1つもなかったと報告されている。
それは概して、変革の規模として小さくインパクトに欠けるものであったということであり、決して何も進歩がなかったというわけではない。2020年までの絶滅危惧種に対する保全活動がなされていなければ、哺乳類や鳥類の絶滅のリスクは、2倍から4倍も高かったという推定もある。
では、ここまで実行してきたものをさらに拡大するには何が必要なのか。それは、様々なセクターが協働する横断的な取組である。
例えば、OECMに関する取組には様々なセクターが参画し、議論が進んでいる。OECMとSATOYAMAは非常に親和性が高いことも、議論の中で盛んに言われている。
時代が変わっても、SATOYAMAがもつ価値は変わらない。これからは、OECMなど新たな仕組みの中にSATOYAMAを位置付け、更なる取組拡大につながることを期待したい。
【参考サイト】SATOYAMAイニシアティブ SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ
【参考サイト】SATOYAMA BASKET MISIA×生物多様性
【参考サイト】愛知目標はなぜ達成出来なかったのか? コロナとも関わる生物多様性の危機
【参考サイト】地球規模生物多様性概要第5版