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廃棄物の少ない服づくりを目指す「H&M」【高校生が出会ったサステナ企業・団体】

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H&M

この記事を執筆したのは、広島の「高校生たち」である。

未来を見据えた高校2年生たちが、さまざまな生き方を知り価値観を広げ、自分らしさを問う探求学習「わたしプロジェクト」。その一環で生徒たちは2022年に広島から東京を訪ね、ワクワクするようなサステナブル事業に取り組む企業に足を運び、自ら取材を行った。

高校生たちは企業と出会って何を学び、何を感じたのだろうか。

※以下、広島の沼田高校2年の生徒による記事となります

「ごみ・プラスチック」テーマで訪れたのは……

世界的に有名なファッションブランド・H&M。同社は、環境への負荷が高いというイメージを持たれがちな「ファストファッション」のブランドでありながら、サステナビリティ(Sustainability)に力をいれている企業である。

サステナビリティは直訳すると「持続可能性」であり、「環境・社会・経済」の観点から、今後長期間にわたって地球環境を壊すことなく、資源も使い過ぎず、良好な経済活動を維持し続けることを意味する言葉だ。そのような意味でH&Mは本当にサステナビリティに貢献できているのだろうか?それを探るため、私たちはH&Mジャパンのオフィスを訪ね、インタビューを行った。

H&M

サステナブルは「ファッションを長く楽しむ力」

Q.H&Mとはどんな企業ですか?

H&Mはスウェーデンで生まれたファッションブランドです。ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供し、ファッションの民主化を促進しようとしています。本来「サステナブル」には持続可能という意味がありますが、H&Mでは「サステナブル」を「ファッションを長く楽しむ力」と捉えています。

Q.服の素材の原産国はどこですか?

H&M製品の主要な生産国は、中国、バングラデシュ、インドネシア、ベトナムなどのアジア圏が中心ですが、アフリカ、ヨーロッパなど世界34の国や地域にまたがっています。

Q.H&Mが行っているサステナブルな生産とはどのようなものですか?

従来のファッション産業のビジネスモデルでは、資源をとって作って捨てるという直線型生産が主流でしたが、H&Mでは資源を最大限活用し、廃棄物を出さない循環型ファッションを目指しています。

Q.具体的には、どのような環境配慮の取り組みを行っていますか?

一つは、「ショッピングバッグの紙製化と有料化」です。以前は、買い物をしていただいた方には無料でビニール製のショッピングバッグを提供していましたが、ショッピングバッグの全体的な廃棄量を抑えるために紙製のものに変更し、有料としました。その効果で、半数以上のお客様がショッピングバッグを辞退してくださるようになりました。

また、「古着回収サービス」も行っています。これは、H&Mの国内全店舗に古着回収ボックスを設置し、お客様の不要になった服を回収するというもの。破れたものも含め、様々な状態の服を回収しています。お持ち込みいただいたお客様への感謝の気持ち、また古着にも価値があるというメッセージを込めて、服を持って来てくださった方には割引クーポンやポイントをプレゼントしています。ボックスで回収した服は、リウェア(古着として再着用)、リユース(工業用の清掃用品やリメイク材などとして再使用)、またはリサイクル(新たな繊維製品や自動車・建築などの制振材・絶縁材の材料として再利用)へと状態に応じて仕分けされます。この活動を通して、2022年度は日本で1,000トン以上もの古着を回収しました。

最後にご紹介するのが「LOOOP」です。LOOOPとは世界初の店内型リサイクルシステムで、いらなくなった服がLOOOPを通して新たな製品に生まれ変わる過程を実際に目の前で見られるというもの。こちらは現在スウェーデンのみで導入されおり、同国では、実際にこのサービスを始めてから問い合わせが殺到し、予約数も多くなったようです。この取り組みは成長中でこれからも発展していくでしょう。

Q.その他にも、服の素材について面白い取り組みをしていると伺いました。具体的には、どのようなことをしていますか?

海に捨てられているプラゴミやさまざまな素材を使用して服を作っています。例えば、海に捨てられているペットボトルなどのプラゴミを回収して作られたリサイクル素材を100%使用した毛皮風の服や、スパンコールで装飾した服などを作っています。

また、オレンジファイバー(オレンジの皮から作られた繊維)やベジェア(葡萄の搾りかすから作られたヴィーガンレザー)、ピニャテックス(パイナップルの葉から作られたヴィーガンレザー)など、食べられずに普段は捨ててしまうものを原料とした素材から服を作る取り組みも行っています。このように他の産業からの廃棄物もファッションに活用することができるのです。

Q.現在、どれくらいの割合で廃棄物使用の服を生産できているのですか?

現在H&Mでは、使用する素材の84%がリサイクル素材またはサステナブルに調達された素材です。ファッション業界は環境負荷が高いと言われていますが、その課題に対していこのように多くの取り組みをしています。H&Mでも今は84%ですが、2030年までには100%まで切り替えられるように目指しています。

H&M

リサイクル素材で作られた服

ファストファッションのイメージを覆す

海に行けば必ずと言っていいほど落ちているペットボトルや、食べずに捨ててしまうフルーツの皮。そんなゴミなどを集め、加工することで作られた新しい素材をH&Mでは使用していた。そのほかにも、リサイクルに取り組む活動があることも知ることが出来た。

また、まだ日本には上陸していないがLOOOPの取り組みは、顧客を巻き込むことでリサイクルの重要性を理解してもらう面白いものだと感じた。直線型の取り組みから循環型の取り組みへ転換していくH&Mの未来がとても楽しみである。

記事執筆者:沼田高校2年生(井上真依、亀井みずき、岡村拓実、髙島新、井手秋桜、櫻井翔、尾﨑もも、白浜夏鈴、岩田澄斗、福谷勇人、岡谷こころ、尾嶋寿々嘉、酒井実希夫、新谷真央、田邊優音、鉃増海人)

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