もし、車椅子で生活することになったら?150種の「想像力」に溢れた家具シリーズ

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車椅子に乗っている人が、一般的な家具を使うときにどのような不便を感じるか、想像することは少ないかもしれない。

世界保健機関(WHO)の2010年の報告によると、世界人口のおよそ10%にあたる6.5億人が障害を持っており、このうち約10%の人が車椅子を必要としているという(※1)

下半身に障害を抱える人や、足腰が弱った高齢者が円滑に利用できる家具とは、どのようなものだろうか。

米カリフォルニア州に拠点を置く家具ブランドのPottery Barnは、2022年7月、移動に困難を抱える人が使いやすい家具コレクション「The Accessible Home(アクセシブルな住まい)」を発表した。

家具コレクションは、ソファ、洗面台、仕事用の机、鏡、ランプ、手すりなど、150種類にも及ぶ。既存の健常者向けの家具を、移動に困難を抱える人に合わせてアレンジしており、価格は既存の商品と同程度のものが多いそうだ。

これらの商品は、Americans with Disabilities Act(障害を持つアメリカ人法)の要件に準拠した作りになっている。


具体的に、商品にどのようなアレンジを加えているのだろうか。たとえば、仕事用の机や洗面台は、車椅子に乗っている人が使いやすい高さにし、十分なスペースも確保。机下の収納はオープンタイプで、車椅子からでも手が届きやすい位置にある。洗面所の壁掛け鏡は傾けることができ、視点の位置が低い車椅子利用者の顔もしっかり映る。

一人用のソファは、リモコンを使って全体を斜めに持ち上げることができ、自力での立ち座りが困難な人の動作をサポートする。リクライニング機能が付いており、横になれる点も便利そうだ。手が届きやすい位置に、収納ポケットも付いている。

これらの家具は、デザイン性にも優れている。洗面台には大理石が使われており、ソファの生地はツイード、ベルベット、レザーなどから選べる。レザーの色は、グレー、インディゴブルー、メープル、ベリーレッドなど、約40種類から選べる点が驚きだ。「マイノリティの人向けだから、商品の選択肢が少ない」ということは無さそうだ。

すべての人にとって、家が快適に過ごせる空間であるように、多くのインクルーシブな家具が誕生してほしい。

※1 Fact sheet on wheelchairs(WHO)
【参照サイト】Accessible Home | Pottery Barn
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