感覚過敏の人がリラックスできる「静けさの部屋」米ポートランドの空港内に登場

Browse By

感覚過敏という症状をご存じだろうか。我々が日常的に経験する音や刺激、例えばスーパーの音楽、人々の歓声、車のクラクション、眩しい光、イベントで発せられる大きな音……などは、感覚過敏を持つ人にとっては「騒音」だったり「過剰な刺激」だったりすることもある。

また、発達障がいや知的障がいを持つ人の中には、知らない場所に行くことが大きなストレスになる人もいる。特に、空の旅はそうしたストレスが発生しやすい。

だからこそ、ポートランド国際空港のコンコース内にセンサリー・ルームを新設し、24時間365日利用できるようにしたことは、多くの空港利用者にとって喜ばしいニュースだろう。

センサリールームとは、感覚過敏の症状がある人が安心して過ごすことができる環境の部屋だ。特殊な照明や色、音、体験型のオブジェ、時にはアロマなどを使って、大きな音や光に過敏な人でもリラックスできるようにデザインされている。欧米・オーストラリアではスポーツ施設に併設されることが多いが、近年は空港での事例も徐々に増えてきている。

このセンサリー・ルームは、以前は倉庫として使われていた約67平方メートルのスペースに新設され、大きな窓からは飛行機を臨むことができる。布製のあたたかな色合いの壁、穏やかな色合いの照明、木で作られた簡単なおもちゃ、クッションタイプのソファが備えつけられた、広々としたスペースだ。

米国では、ピッツバーグ国際空港やアトランタのハーツフィールド・ジャクソン空港などにも、こういったスペースが作られており、センサリールームの存在が徐々に一般的になっている。今回、ポートランド空港内にセンサリールームを作るにあたって、KultureCity(米国の自閉症支援NPO)、オレゴン州自閉症協会、ARCオレゴンと提携。また、国内の空港同士でも意見交換が行われ、創意工夫をしながらセンサリールームの開発を行っているようだ。

日本でも、「誰でも来られるスタジアム」をスローガンに、東京・国立競技場にセンサリールームが併設され、感覚過敏の症状を持つ子供たちやその家族を中心に利用されている。この運動は広がりを見せ、去年の9月にはノエビスタジアム神戸にも導入された。これからもこうしたポジティブな動きが広まっていってくれるよう、社会をつくる一員として応援したい。

【参照サイト】PDX Opens New Sensory Room in Concourse D
【参照サイト】Yogiboプロデュースによる「センサリールーム」Yogibo WEリーグが行われる「ノエビアスタジアム神戸」に常設
【参照サイト】KultureCity
Edited by Megumi

FacebookTwitter