炭素固定とは・意味
炭素固定とは?
炭素固定とは、言葉の通り、大気や排気ガスなどに含まれている二酸化炭素(CO2)を何らかの形で固定することを指す。これはわかりやすく言うと、CO2を炭素化合物として留めていくことで、大気中のCO2排出量を減らすことだ。地球温暖化対策に有効だと言われ、生活していくうえでどうしても出てしまうCO2を削減する方法としてニーズが高まっている。
最も身近な炭素固定は、自然界でおこなわれている光合成だ。これは植物や微生物が、光のエネルギーを利用して水を分解し、酸素を作り、CO2を有機物に固定する働きで、今のところ光合成に勝るCO2の固定化の方法は明らかにされていない(2020年12月時点)。
一方で、人工的に二酸化炭素を固定する技術の開発も進められており、こうした技術は「CO2固定技術」と総称される。また、炭素固定自体も、「炭酸固定」や「二酸化炭素固定」「炭酸同化」などと呼ばれることもある。
炭素固定の具体的な方法
人間の手によるCO2固定技術は、大きく3つに分類される。
- 物理化学的な固定法
固定発生源からの排ガス中のCO2を分離・回収する。燃焼施設の排ガス中のCO2の分離回収でよく用いられる。 - 生物学的な固定法
植樹や森林の再生・管理のほか、海藻などの海洋・水生植物や珊瑚の光合成を利用する方法がある。 - 地中貯留、海洋隔離などの大規模な固定法
地中や海中の奥深くに隔離する。世界で実用化が進められているが、CO2に圧力をかけて地下に注入する際には、圧縮や移送のために多くのエネルギーが必要になる。
炭素固定の課題
地中貯留、海洋隔離による炭素固定では、固定の過程で多くのエネルギーを消費するうえ、施設を作る際にもコストがかかる。低コスト、低エネルギーでの実現が、今後さらに技術を普及させるための課題となっている。
樹木や海藻などを利用した生物学的な固定法は実行しやすい方法だが、地球全体で見ると、森林や珊瑚が減っているため、効果が出ているとは言えない点が課題だ。生物学的な固定法を実施し続けると共に、森林や海藻、珊瑚の減少を食い止める努力が求められている。
炭素固定の今後
CO2固定技術は大きな期待を持たれているが、まだ研究途上で、実用化に至っていない技術が多い。しかし様々な方法の研究、開発が進められているので、今後は目覚ましく発展する分野になりそうだ。
この固定を考えるときに大事な視点として、炭素固定の技術が進んだからといって、CO2の排出量を増やしても大丈夫、という考え方に陥ってはならないという点だ。固定するにはエネルギーやコストがかかる。目指すべきはCO2を出さない形だという点を、私たちは肝に銘じておく必要があるだろう。
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