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人工妊娠中絶

人工妊娠中絶

人工妊娠中絶とは?(What is Abortion?)

人工妊娠中絶とは、妊娠22週未満(21週6日)までに行うことができる、妊娠状態を意図的に中断することを言います。母体保護法では「人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその付属物を母体外に排出すること」としています。日本では、条件付きで人工妊娠中絶が認められており、その条件は母体保護法に挙げられています。

母体保護法 第三章 母性保護
第十四条 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。

  • 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
  • 暴行若しくは脅迫によってまたは抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

前項の同意は,配偶者が知れないとき若しくはその意志を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の意思だけで足りる。

数字で見る人工妊娠中絶(Facts & Figures)

人工妊娠中絶の現状に関する数字と事実をまとめています。

  • 2017年度日本で行われた人工妊娠中絶は約16万4千件で、人工妊娠中絶を経験した女性は15歳~44歳の女性の約0.64%を占める(厚生労働省
  • 2007年以降日本の人工妊娠中絶の実施率が一番多い年齢層は20~24歳(厚生労働省
  • 2003年度から2017年度の15年間で、人工妊娠中絶の実施率は全年齢層とも減少傾向にあり、約半分にまで減少している。(厚生労働省
  • 母体の危険を含めていかなる理由でも中絶を禁止する国は26カ国、約9千万人(5%)の女性が対象。(CRR
  • 人工妊娠中絶可能な妊娠週数の制限はあるが、要望に応じて人工妊娠中絶が可能な国は世界で67カ国あり、約5億9千万人(36%)の女性が対象(妊娠週数制限は12週未満が条件であることが多い)(CRR
  •  人工妊娠中絶を行う際に健康上・経済上の理由を必要とする環境に置かれている女性は、約9億8千万人(約59%)(CRR
  • 2015年の調査では、アメリカの人工妊娠中絶の実施件数は約64万件にのぼり、15歳~44歳の女性の約1.2%が人工妊娠中絶を経験している。(CDC
  • アメリカでは、人工妊娠中絶実施率は2006年から2015年の間に、約24%減少している。(CDC
  • 2014年において、アメリカ人口の約13%が黒人系にもかかわらず、人工妊娠中絶実施率は全体の36%を黒人女性が占める(RLM
  • 2017年のミシガン州における調査では、黒人女性の人工妊娠中絶実施率は全体の約51%を占め、そのうちの96%は未婚女性(RLM

※CRRの調査で定義する「女性」とは”Reproductive age(出産可能年齢)”の女性を指す。
※CDCの調査では報告された49の州・地域を対象としている。

報道の多さや教育プログラムの改善もあってか人工妊娠中絶の数は減っているものの、いかなる理由であっても、あるいは何らかの理由がないと中絶を違法とする国が目立ちます。

また、このデータからは黒人女性の人工妊娠中絶比率の高さもわかります。アメリカの人種別の貧困率は黒人系の割合が多いため、中絶率の高さには、貧困問題も絡んでいることが読み取れます。

人工妊娠中絶

人工妊娠中絶の原因(Causes)

女性が人工妊娠中絶を選ぶ原因としては下記が挙げられます。

  • 母体の危険
  • レイプ、拒否できない性的暴行
  • 経済的困難
  • 配偶者の問題(特定できない・父親として未熟など)
  • 将来のキャリアにおいて障害となる可能性がある
  • 精神的に子供を迎える準備ができていない
  • 子どもを迎えられるほど成熟していない
  • (仕事や育児で)新たに子どもにかけられる時間がない

アメリカでの調査によると、経済的困難やレイプといった、今まで人工妊娠中絶の主な理由とされてきた原因よりも、現在は「精神的に子供を迎えられない」「将来のキャリアにおいて障害となる可能性がある」といった理由が増えてきています。先進国の人工妊娠中絶には貧困問題だけでなく、女性の社会的立ち位置も関係してきていることが分かります。

人工妊娠中絶はなぜ問題なのか?(Impacts)

人工妊娠中絶はなぜ問題なのでしょうか。主な理由としては下記が挙げられます。

  • 倫理的な問題
  • 宗教的な理由による人権の侵害
  • 倫理的に「殺人ではないか」という意見による中絶のしづらさ

現在アメリカのアラバマ州やオハイオ州、ユタ州で、原因がレイプだとしても人工妊娠中絶を禁止する法案が続々と出てきています。アラバマ州の法案の内容は、母体の危険以外の理由で人工妊娠中絶を施した医師は最大99年間拘束されるというものです。その背景にはトランプ政権による保守的な最高裁判官の台頭があり、彼らにはカトリック保守派に見られる「プロ・ライフ(生命肯定)」という授かった全ての命を失くすべきではない、という考え方があります。

一方で、こちらも厳格なカトリック信者が多いアイルランドで、国民投票により人工妊娠中絶が2018年に合法化しました。この原点には人工妊娠中絶が禁止されていた当時の法案に従ったことで亡くなったアイルランド人女性の存在が大きいです。

アメリカの人工妊娠中絶禁止法案の可決を受けて、各国でそれぞれ失敗を繰り返さなければ法律は動かないのか、といった印象が残ります。決められた法案によって誰が苦しみ、誰が救われるのかといった公平な視点が欠けつつある昨今において、女性男性問わず国家を超えた視野を広く持ち、国家や宗教の考え方に惑わされない自分の意見を持つことが大事です。

人工妊娠中絶

人工妊娠中絶に関する国際団体(Organization)

人工妊娠中絶に関する国際的な団体としては下記が挙げられます。

人工妊娠中絶に関連する問題を解決するアイデアたち(Ideas for Good)

人工妊娠中絶に関連する問題を解決するために、できることは何でしょうか?

IDEAS FOR GOODでは、最先端のテクノロジーやユニークなアイデアで人工妊娠中絶に関連する問題解決に取り組む企業やプロジェクトを紹介しています。

【参照サイト】日本産婦人科医会

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