【2023年2月】「飲む中絶薬」ついに承認？ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース5選

社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、オーストラリアのビーチでプラスチックが3分の1に減少したことや、アトピーの痒みの原因とその阻害剤を発見されたことなどをご紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

ロシアの軍事侵攻により、戦争が続くウクライナ。そんなウクライナで、2022年10月ぶりに3日間連続で電気のシステムにエラーがないことが、同国の送電オペレーター Ukrenergoにより報告された。これは、国民が3日連続で電気が24時間しっかり使えたことを意味する。

ウクライナの電力網と発電所などのインフラ設備の破壊により、電気を制限された生活を送っている人たちがいることや、戦争はまだ続いていることから、喜んでばかりいられないニュースではある。しかし、暖かな食事や暖かな家、シャワーなどを一時的にでも自由に使えるのはとても大切なことだ。

2019年の火災で、尖塔と屋根が崩落したノートルダム大聖堂。築850年になるゴシック様式の大聖堂はパリの有名な観光地の一つであり、火災で一部が焼失したときは、多くの人が悲しみに暮れた。

そんなノートルダム大聖堂が、いま修復工事を進めている。建設プランによると、2024年末には完成し再び美しい姿を見せてくれるということで、今から楽しみだ。

動物と、ソーラーパネルは共存できる。そんな再エネへの希望が見える取り組みが世界で増えてきた。

太陽光を取り込むソーラーパネルを牧草地の上に「天井のように」掲げておくことで、パネルに雑草が生い茂るのを防ぎ、羊も日陰ができることで暑さのストレスから逃れられるという。

「アグリボルテイック農法（agrivoltaic farms）」と呼ばれるこの方法は、ソーラーパネルをうまく使うことで特定の作物が通常よりも早く育ったり、土壌の乾燥を防いで森林火災の発生を抑制したりと、さまざまな利点があるとされる。

日本からも良いニュースだ。厚生労働省の専門家部会が2023年1月末、イギリスの製薬会社ラインファーマが開発した人工妊娠中絶に使う飲み薬「メフィーゴパック」の製造販売について、「承認して差し支えない」との意見をまとめた。

国内では、人工妊娠中絶の手段はこれまで手術に限られていたので、もしこれが正式に承認された場合は初めての「飲む中絶薬」となり、女性の心身に負担が少ない方法で中絶する選択肢が増えることとなる。

ただ厚労省は「慎重な審議が必要」だとし、2月末までパブリックコメント（意見公募）を実施した上で、3月にも分科会でさらに承認の可否について審議する予定だ。

手足や喉、舌の筋肉が痩せて、呼吸が難しくなるほど力がなくなっていく病気「筋萎縮性側索硬化症（ALS）」。以前、漫画『宇宙兄弟』から生まれた「せりか基金」の記事でも取り上げたこの原因不明の難病に関して、新たな希望が見つかっている。

アメリカ・南カリフォルニア大学が率いるチームが、ヒト細胞と生きたマウスでの実験によって、治療に有効だとされる薬に使えるような遺伝子「SYF2」と、タンパク質を特定したのだ。実験では、ALSにかかった個体のSYF2を抑制したところ、神経変性や運動機能障害、その他の症状が軽減されたという。

これによって完璧にALSが治るとは言い切れないが、それでも治療のための道が少しずつできていることは確かだ。引き続き、希望を持っておきたい。

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