ポイントは「楽しさ」。ごみのない未来に向かう、エコアルフの実践とは【高校生が出会ったサステナ企業・団体】
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この記事を執筆したのは、広島の「高校生たち」である。
未来を見据えた高校2年生たちが、さまざまな生き方を知り価値観を広げ、自分らしさを問う探求学習「わたしプロジェクト」。その一環で生徒たちは2023年に広島から東京を訪ね、ワクワクするようなサステナブル事業に取り組む企業・団体に足を運び、自ら取材を行った。
高校生たちはそこで何を学び、何を感じたのだろうか。
※以下、広島の沼田高校2年の生徒による記事となります
「スポーツ」テーマで訪れたのは……
私たちが訪問したのは、「地球環境を守るために服を売る」ファッションブランドであるECOALF(以下、エコアルフ)です。今回は、2019年からエコアルフの日本への参入、立ち上げに関わっている同社の下川雅敏さんにお話を伺ってきました。
「地球環境を守るために服を売る」エコアルフの活動
Q.エコアルフはどんなことをしている企業ですか?
エコアルフは、全てのアイテムが再生素材や環境負荷の低い天然素材から作られており、「地球環境を守るために服を売る」という新しい発想を持つ、スペイン生まれのサステナブルファッションブランドです。
ブランド自ら海洋ごみ(ペットボトル、タイヤ、魚網)を収集し、コーヒーかす、リサイクルコットン、オーガニックコットンなども使って独自の技術でリサイクルした生地を開発しています。
正しさよりも楽しさを通じて、環境課題を知ってほしい
下川さんは、「環境にいい取り組みは、それがたとえ小さな取り組みであったとしても地球への負荷を減らすことにつながる。取り組みは人それぞれであっていい」という信念を持っています。ファッション業界を舞台に、そのことを追求されているのです。
間違っているか正しいかではなく、まずはサステナブルな情報をお客さんに知ってもらうこと、誰もが「楽しんでできる」ことをとても大切にされているとのことでした。
また下川さんは、ペットボトルのごみを使って商品を作るなど、無駄なごみを減らす活動をしています。海などにあるごみも綺麗な服へと進化させられるということと、サステナブル素材を使うことでのメリットや、その価値を世界に広めていくということを大切にされていました。
これを聞いて、私たちが感じたことは、サステナブル素材はまだまだ世界にはあまり普及しておらず、ごみ問題を解決していくためには、世界中の人々がサステナブル素材を使った商品の価値を理解する必要があるということです。ごみから服を作るということは、一見、ごみを生まれ変わらせることができる夢のようなことに見えても、その裏には技術によるコストの問題や、SDGsへの関心の低さなどのたくさんの課題があると分かりました。
私たちが、再生素材や循環型のものづくりに向き合っていき、その価値を理解していくことが地球をより良くしていくために必要なことなのだと思いました。
また、日本でのエコアルフの知名度が海外より低いことに注目して、興味を持ってもらえるように店の中にごみを飾り、お店の前を通った人達にエコアルフのことを知ってもらおうとしていたことが印象に残っています。理由は、飾ってあるごみのインパクトが強く、通行人の人の注目を強く集める効果がありそうだと感じたからです。
商品だけでなく店内にもプラスチックごみから繊維を作るための過程を飾るなどの工夫は、ごみ問題や環境問題についても知ってもらうことにもつながり、下川さんの世界をより良くするために行っているお仕事内容だと感じられました。
幅広い世代に響く、アパレル商品を目指して
下川さんに質問をする際、三つの点に注目しました。一つ目は、日本と世界でSDGsはどのくらい浸透しているのかということです。二つ目は、需要が少ない世代に向けての取り組み方です。地球の環境を良くするには、さまざまな世代にサステナビリティの考え方や価値を知ってもらう必要があると思ったために伺ってみたいと思いました。三つ目は、日本でSDGsを知ってもらうための取り組みについてです。SDGsを日本中に広めるためには、どんなことをする必要があるのか気になったからです。
一つ目のSDGsの浸透具合について、下川さんの周りでは、海外に比べると日本ではまだSDGsが日常に浸透していないように感じるとのことでした。海外と比較すると広がるスピードは数年遅れている印象のようです。
二つ目の質問である需要が少ない世代に関しては、若者の価値観や服の選び方、着方を変えていく必要があるそうです。また「サステナビリティの考え方やサステナブルファッションの大切さについて多くの人に知ってもらうことから始めることが1番の近道になる」とおっしゃっていました。
三つ目の日本にSDGsを知ってもらうための取り組みに対しては、さまざまな企業とコラボレーションをすることでSDGsを広めるきっかけとしているそうです。例えば、他社と共同でビールや家電を作ったり、自動車を作ったりと、「ファッション」というジャンルを超えてサステナビリティを全国へ伝えることが必要になってくるとのことでした。
このようなお話を聞いて、一つ目のSDGsの浸透具合の回答に対しては、リユース・リデュース・リサイクルの3Rを意識して生活したいと感じました。また、SDGsの遅れを知った私たちがSNSなどを利用して拡散することが重要だと考えました。二つ目の需要が少ない世代に関しての回答に対しては、服の選び方や着方をもっと考えながら生活したいと思いました。また、サステナビリティの考え方やサステナブルファッションの意味を理解して、若者の価値観を変えていくことが重要だと感じました。三つ目の日本にSDGsを知ってもらうための取り組みに対しては、大企業とコラボすることで全国へ活動を広めていっていることに驚きました。
取材を終えて……
訪問してみて印象に残ったことは二つあります。一つ目は、プラスチックは服や帽子などさまざまなものに再生できるということです。プラスチックは靴に再生する印象が強かったのですが、服や帽子にも再生されている事を知りました。またその服の種類の多さに驚きました。二つ目は買った人へのメッセージや、その商品に使った素材の数や種類を、服や靴のデザインとして伝えているということです。ロゴには使用したペットボトルの数などが書かれており、そうしたこだわりは他のお店にはないものだったので、SDGsについて意識してもらうための工夫が細かいところまでこらされているなと感じました。
取材中の「これからの未来を担うのは君たちです」という下川さんの言葉から、どれだけサステナビリティの認知度を高め、アクションに繋げていくことができるかは私たち若者にかかっているとわかりました。だからこそ、私たち自身から変わっていくことが大切だと考えました。そこで、インターネットやソーシャルメディアなどを利用し、情報を受け取る側から、SDGsについて発信し広めていく側になっていきたいと考えました。まずは、私たち沼田高校から率先して、行動に移していこうと思います。
情報を受け取るだけでなく発信していく側になるために、まず多くの知識を得てSDGsに関する課題を見つけていきたいと思います。
執筆者:広島市立沼田高校2年(神田羽潤、川田一輝、中村宥、石田隼佑、森本結月、正法地菜子、中向帆香、西内初菜、菊野桃華、広安航輔、田原大耀、近藤陽生、沖田琢真、村田陸隼、松尾奏良、吉持樹季、今川瑠渚)