最後の一品まで大切に。発展途上国の可能性を届けるマザーハウス【高校生が出会ったサステナ企業・団体】
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この記事を執筆したのは、広島の「高校生たち」である。
未来を見据えた高校2年生たちが、さまざまな生き方を知り価値観を広げ、自分らしさを問う探求学習「わたしプロジェクト」。その一環で生徒たちは2023年に広島から東京を訪ね、ワクワクするようなサステナブル事業に取り組む企業・団体に足を運び、自ら取材を行った。
高校生たちはそこで何を学び、何を感じたのだろうか。
※以下、広島の沼田高校2年の生徒による記事となります
「貧困」テーマで訪れたのは……
私たちが訪問したのは、途上国と共にものづくりを行う、株式会社マザーハウスです。今回は、同社の吉浪優香さんにお話を伺いました。
Q.株式会社マザーハウスはどのような企業ですか?
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念を掲げ、発展途上国の今まで注目されてこなかった素材や職人の技術に光を当てたものづくりを行う企業です。例えば、バングラデシュのレザーやジュート(麻)、ネパールのシルクやウール、スリランカ・ミャンマーの天然石、インドネシアの金細工・銀細工、インドのカディと呼ばれる手つむぎ手織りのコットンといった多様な天然素材や職人の技術で、バッグやジュエリー、洋服などのアパレルプロダクトの生産から販売まで一貫して行なっています。
2020年には、お客様から回収したバッグや、生産工程で発生するレザーの端材を再利用して作る「RINNE(リンネ)」シリーズを発売しました。また、2023年には全店で10品以下になったプロダクトを販売するお店「最後の一品店。」をオープンするなど、ものを大切にし、最後の一品までお客様に届けることを大切にしています。
Q.吉浪さんは、どのようなお仕事をされていますか?
PR/新規事業チームとして、マザーハウスのブランド戦略・企画・広報・メディア戦略・SNS運用など、様々な仕事をしています。その一つとして、「最後の一品店。」の店主もしており、途上国の素材や職人の可能性に光をあて、「最後の一品までお客様に大切にお届けする」ことを大事にしています。
最後の一品までお客様に届ける、徹底した姿勢
Q. マザーハウスと他の企業との違いはなんですか?
「マザーハウス」は、働く人にとって「第二の家」になるように、と想いを込めています。バングラデシュをはじめ、生産国の職人たちにとって、第二の家に感じてもらえるよう、給与制度や福利厚生など、安心して働ける環境を整備しています。
また、アパレル業界では度々、お客様にお届けできず、残ってしまったプロダクトの廃棄問題がニュースになりますが、マザーハウスではそういったプロダクトを廃棄せず、最後の一品まで届けようと取り組んでいます。お客様ひとりひとりに向き合い、生み出したプロダクトや、それをつくる職人たちに対しても、誠実に向き合うのがマザーハウスらしい姿勢だと感じています。
Q. 「最後の一品店。」について教えてください。
「最後の一品店。」は、「途上国の可能性を届けてきた過去のプロダクトも、最後の一点まで大切に届けたい」という想いから生まれた、今後生産予定のない全国で10点以下になった希少なバッグ・ジュエリー・アパレルなどのアイテムを取り扱うお店です。2023年3月に秋葉原のマザーハウス本店の隣にオープンしました。
マザーハウスが毎年行うサンクスイベントでは、倉庫に眠っていたプロダクトを修理して再度お届けする「”めぐる”最後の一品店。」を行い、大好評でした。「もう出逢えないと思っていたバッグと出逢えてうれしい!」とお客様から喜びのお声をたくさんいただけて、私もとても嬉しくなりました。
また、イベントの最後にお客様投票で過去のプロダクトを復刻する「復刻ドラフト会議」も行いました。バングラデシュの倉庫に眠るジュートやレザーを活用できないか?と半年前から企画し、東京・大阪それぞれで、お客様投票1位になった「Edge Messenger」「Triangle Tote M」は、3月から最後の一品店。大阪本店で数量限定で発売になり、復刻を待ち望んでくださっていたお客様からとても喜んでいただけました。
お客様のお声を聴きながら、最後の一点まで届けられることが私にとっても大きな喜びです。
Q. 先進国に住む私たちに求められている考え方や行動とは、なんでしょうか?
私たちに求められているのは、日々、手に取るプロダクトの生産背景についても知ろうとすることだと考えます。生産国とお客様に真摯に向き合い、より良いプロダクトをつくろうとするブランドもあれば、安く作って高く売れればよく、生産国の職人へのリスペクトがないブランドもあります。
「あなたの買い物は、社会への投票である」という言葉が好きなのですが、自分の選ぶものが、世界に対してどんな影響を与えるのか、自分で調べて、生産背景も知った上でモノを買う、という姿勢が大切だと感じます。
Q. 今後取り組んで行きたいことはなんですか?
廃材を有効活用し、最終的に生産過程での廃棄をゼロにしていく「ALL RINNE PROJECT」に取り組んでいきたいです。将来的には、マザーハウスだけではなく他の企業やブランドも真似したくなるような、生産過程で発生するわずかな廃棄もなくして活用していく取り組みを進めたいと考えています。そのために知見のある他の企業様と連携しながら、仕組みを検討しています。まずは、その先陣をマザーハウスがきっていけるよう、お手本となるような取り組みにしていきたいです。
自分が買うものを変えるところから始めたい
吉浪さんの、「自分が作ったものは最後まで届ける責任がある」という言葉を聞いて、ものを大切にしている方だと感じました。また、生産したプロダクトの中で再生産予定のない希少アイテムだけを集めて最後の一品まで届けるという想いを「最後の一品店。」によって伝えていくという言葉から、このプロジェクトにかける思いが伝わってきました。プロダクトを大切にする吉浪さんの思いを聞いて、信頼できる素敵な企業だなと思いました。
また、普通は他の人を巻き込むと迷惑がかかるかもしれないと考えてしまいがちですが、マザーハウスの事業が成功したのは、他の人の力も借りているからだと思いました。やりたいことをする時に1人で抱えがちになる事はよくあると思うので、周りを巻き込むという姿勢がとても参考になりました。自社のことだけではなく、将来をも見据えて他の企業のことまで考えているのも素晴らしいと感じました。
さらに、テレビなどで見た状況と実際の状況は違うため、自分の目で見て確かめることが大切だということを学びました。百聞は一見にしかずと言うように、現代社会においては自分自身で行動することが必要だと分かりました。私たちには発展途上国では安定した給料や社会保険がないという事実を知ることが求められると聞いて、今からでもたくさんの物事に視野を広げていくべきだと思いました。
「プロダクトを買う」ということは、その企業の理念に賛同していることなので、安いものを取り扱う通販サイトなどで物を買わずに、マザーハウスのように発展途上国を手助けする企業で物を買っていきたいです。
執筆者:沼田高校2年生(入山心瑠、小早川さくら、佐々木瞳、坪井真悠、谷口真菜、藤井日愛、三宅大希、大森咲之助、金井彪魁)