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多様性はなぜ必要?そのメリットと、ダイバーシティ企業になるためのヒント


企業が多様性を推進するとき、どのような壁にぶつかることが予想されるだろうか。

あなた自身は「企業は多様性を推進するべき」と考えているかもしれない。しかし、社内でその方向性に抵抗を示す人たちがいた場合、彼らをどのように説得したらいいのだろうか。多様性を推進するメリットとは何だろう。

そもそも、なぜ抵抗を示す人たちがいるのか、考えてみるといいかもしれない。もしかしたら、彼らとは多様性についての認識が一致していないのかもしれない。その場合は、まず互いの認識をすり合わせるところから始めないといけない。

また、「皆が互いの違いを認め合い、力を発揮できる企業にする」という理想を実現するために、どのような計画を立てるといいのだろうか。

こういったつまずきや疑問を感じている人たちは、この記事から何かしらのヒントを得られるかもしれない。

そもそも、多様性とは?

多様性(ダイバーシティ)は幅広い概念であり、性別、年齢、国籍、学歴、社会的地位、家族構成、宗教、価値観、身体的能力など、ある人を特徴づけるものは、ほぼすべて多様性の範疇に入る。

多様性を大きく分類すると、ぱっと見で分かりやすい「表層的ダイバーシティ」と、ぱっと見では分かりにくい「深層的ダイバーシティ」がある。

表層的ダイバーシティの例

  • 年齢
  • 性別
  • 国籍
  • 人種
  • 民族
  • 障害の有無​
  • 性自認・性的指向

深層的ダイバーシティの例

  • 価値観
  • 仕事観
  • 宗教
  • 学歴
  • 職務経験​
  • コミュニケーションの取り方​
  • 受けてきた教育
  • 第一言語
  • 嗜好
  • 組織上の役職や階層

企業における多様性という文脈では、勤務形態、勤続年数、キャリアプランなども多様性に含まれる。

多様性のある企業のメリット

企業が多様性を推進すると、どのようなメリットが生まれるのだろうか。たとえば、多様な人材の能力を最大限発揮させることで、以下のような「経営上の成果」を生み出せる可能性がある。

01. 多様な視点を、商品やサービスの開発に活かせる

育児や介護の経験、中途採用者の前職の経験、スタッフ一人一人の生活者としての視点など、様々な知識、経験、価値観を、商品やサービスの開発に活かすことができる。多様な視点があるからこそ、新しい発想が生まれやすい。

02. 多様性に配慮するなかで、業務プロセスが改善される

勤務時間に制約のあるスタッフも対等に活躍できる、長時間労働を当たり前としない職場にすることで、職場全体が短時間で成果を上げられるようになるなど、業務効率化につながる。障害者や高齢者の特性に応じた仕事の進め方を模索する中で、業務プロセスが改善される可能性もある。

03. 顧客や市場など、外部からの評価が高まる

多様な人材の活躍状況を対外的に発信することで、世間からのイメージアップや投資家からの信頼向上につながる。少子高齢化の進行による人材不足が懸念される中、多様な人材が働きやすい職場であることが社会的に認知されれば、優秀な人材を確保しやすくなる。

04. スタッフの仕事に対する意欲が高まったり、職場の雰囲気が良くなったりする

誰でも「自分が職場の一員として認められていない」と感じながら働くよりも、「自分が職場で尊重されている」と感じながら働くほうが、仕事への意欲が高まりやすい。多様性を受け入れるインクルーシブな組織風土を醸成することで、スタッフのやる気が高まり、イノベーションが生まれる可能性が高まる。

以上が一般的なメリットだが、「なぜ自社に多様性が必要なのか」という問いに対する答えは、結局のところ企業によって様々だ。

多様性を推進しない道を選ぶことも可能ななかで、なぜ自社はダイバーシティ経営に取り組むのか。まずは企業のトップ自らが、ダイバーシティ経営に取り組む理由を明確にし、それをマネジメント層などに分かりやすく説明する姿勢が求められる。

ダイバーシティ経営は、多様な人材を採用するだけで達成できるものではなく、その後の人材育成が重要となるため、息の長い取り組みになる。組織全体で、その必要性を本当に納得できていなければ、現場レベルで軋轢などが生じたとき、適切に対応しにくくなるだろう。

多様性のある企業になるには

多様な人材が活躍できる企業になるためのステップは、大きく分けて次の3つだ。

01. 多様な人材を積極的に採用・登用する

人は誰しもが個別の事情を抱えて生きており、それらの事情が画一的な「新卒採用、男性正社員、長期継続雇用モデル」にそぐわないからといって、安易にマイナスとして捉えるべきではない。

週5日フルタイムで働くことを望まない高齢者、サポートが必要な障害者、日本語での会話が難しい外国人など、何らかの制約があるように見えるスタッフの強みを見極め、彼らにも重要な仕事を任せていくことが大切だ。

数値を上げることにだけ拘泥するのも考えものだが、女性管理職比率や外国人採用率などの目標を設定することも、達成度をわかりやすく可視化するという意味では有効だろう。

02. 多様な人材が働きやすい制度を整える

多様な人材が集まれば、働き方も多様になることが考えられるため、そのことを考慮した制度を用意する必要がある。具体的には、フレックスタイム制度、在宅勤務制度、短時間勤務制度などが挙げられる。

こういった制度を導入するにあたり、スタッフを公正に評価できるよう、各スタッフに期待する役割や達成するべき目標をあらかじめ明確に説明し、彼らに納得してもらうことが重要となる。そして彼らが目標達成に向けて励めるよう、フォロー体制を整えよう。

たとえ制度が存在していても、「この制度を利用すると、人事評価で合理的に説明できない低評価を受ける」という認識が職場で共有されていれば、制度の活用は進まない。多様な働き方をするスタッフ間の軋轢を生まないためにも、人事評価の透明化に努めることが重要だ。

03. 多様な人材の能力開発を行う

利潤を追求する企業だからこそ、市場競争力を高めるために、スタッフ一人一人の能力開発に時間と予算を投じることが欠かせない。

性別、雇用形態、職種、国籍などに関わらず、すべてのスタッフがスキル開発の対象となっているだろうか。彼らがどのようなキャリアを築きたいのか理解し、その実現に資する仕事を提供しているだろうか。

本人のキャリアの希望を尊重するだけでなく、企業側が、その人の新たな可能性を引き出すことも意識したい。この際、その人の深層的ダイバーシティをベースに考えることが重要になるのではないだろうか。

その人はどういう性格で、どういうコミュニケーションスタイルを持っているのか。何にモチベーションを感じ、どういう経験を積んできたのか。こういった、スタッフの深層の部分を捉えることで、その人の能力を最大限に活かせる仕事が見えてくる。

一見分かりにくい個々人の内面的な特徴を把握し、それを活かして組織を率いるには、高度なマネジメント能力が必要となる。マネジメント層自らもスキルアップに努めよう。

まとめ

グローバル化と少子高齢化が進み、多くの企業が外部環境の変化に直面しているなか、多様性への対応は、「避けては通れない」から取り組んでいるという企業も多いだろう。

ミレニアル世代の人材は就職先を決める際、企業の多様性や受容性の方針を重要視するという調査結果が出ている。あなたの企業は、外部から魅力的に見えているだろうか。積極的に外部とのコミュニケーションをとることで、自社の課題や強みが見えてくるかもしれない。

人間は一人ひとりが多様な存在である以上、多様性というテーマは皆に関係するものだ。それにも関わらず、多様性への対応を他人事として捉え、当事者意識が無いスタッフが多いのであれば、まずはその人たちの誤解を解く必要があるだろう。

最後に理想を言うと、多様性への対応は、メリットがあるかないかという次元を超えた、企業の信念であるべきではないだろうか。そして信念は行動に移さなければ、周囲に伝わらない。あなたの企業が信念を行動に移し、その信念に共感するスタッフや顧客を集めるために、この記事が少しでも役に立つといい。

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