横浜の小学生がアップサイクルに挑戦。地域の廃棄物を使った「黒船石けん」

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気候変動が深刻化している今、CO2削減、生物多様性の回復など、環境や社会のためにすべきことは数えきれないほどある。しかし、そのなかの最も重要なことのひとつだと言えるのが、将来世代への環境教育なのではないだろうか。今回は、そんな環境教育の優れた事例を紹介したい。

横浜市金沢区の瀬ケ崎小学校5年生の児童たちは、地元の企業や団体らと協力して、地元素材や廃棄物を使用した「黒船石けん」を製作した。

この黒船石けん作りは、2020年6月、同小学校の総合の授業「せがさきタイム」で、身の回りの解決すべき問題を考えた結果、新型コロナの感染予防策となる「手洗い」が楽しくできるようにとスタートした。

当初は市販の石けんをアレンジしたり、MPソープ(グリセリン透明ソープ)や廃油を使って石けんを作りを試みたりしていたが、出前講座で天然原料にこだわった石けん作りを行う太陽油脂株式会社(以下、太陽油脂)を知り、オリジナル石けん作りに着手。太陽油脂は、分散登校中もオンラインで児童たちの意見を聞き、プロジェクトの支援を行ったという。

黒船石けんパンフレット

児童たちは、プロジェクトを通して環境問題やSDGsについての勉強を重ねた結果、環境に配慮した地元の素材を使った石けんで、地元金沢区を盛り上げたいと考えた。

そこで、コンブを通して海の環境再生に取り組む富本龍徳さんや、水素や炭などをベースに製品の原料の研究開発を行う炭プラスラボ、廃棄される青みかんを有効活用して食品を製造するアマンダリーナといった地元企業・団体の協力を得て、小柴沖で育ったコンブや汚れを吸着させる炭、廃棄されていた給食のみかんの皮を石けんの素材として使用。

石けんは、黒い見た目と小柴沖にペリー提督が停泊したことから「横浜金澤黒船石けん」と命名され、パッケージには、より廃棄が少ない方法を児童たちが話し合った結果、箱ではなく紙を用いた。

1年半近く取り組んだ黒船石けん作りを通して、児童たちは地球温暖化の現状や世界の環境問題、SDGs、サーキュラーエコノミーの意味などを学び、大きな成長の機会となったようだ。子どもたちからは、以下のような声が聞かれた。

「黒船石けんを作ってみて、作るにも使うにも責任を感じることが必要なんだとわかった」
「金沢区で環境を良くする取り組みを行なっている大人がいると知って、誇らしく思った」
「最初は、環境問題は自分には関係ないと思っていたけれど、黒船石けん作りを通してそれが自分事になった」
「これからは、電気をこまめに消したり、ものを大切に長く使ったりと、日常でできるSDGsに取り組んでいきたい」

黒船石けん資料

また、児童たちに伴走し、石けんづくりを支えてきた瀬ケ崎小学校教員である桐山智先生、佐藤詩乃先生、北岡真乃先生は、今回の取り組みについてこう語る。

「黒船石けんが商品として世に出ることはすごいことですが、子どもたちがプロの大人たちと一緒になって考え、商品を作っていく過程で、本気で世界の環境や未来を考えるようになったということが、最も価値のあることだと思います。」

この黒船石けんは、2022年2月15日、16日に、金沢八景駅近くの光栄堂薬局前で児童たちの手によって販売される予定だ。(雨天もしくはまん延防止等重点措置延長の場合は3月に延期予定)

「手洗いをたくさんして健康でいること」「地域を盛り上げること」「世界の環境に貢献すること」を目的に販売され、売上は金沢区で海洋保全に取り組む富本龍徳さんに寄付するとしている。小学生たちの想いのこもった黒船石けんを、ぜひ手にとってみてはいかがだろうか。

黒船石けん販売会概要

日時:2022年2月15日、16日(9時30分〜11時30分)
場所:光栄堂薬局前(地図
※限定1000個販売

※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Circular Yokohama」からの転載記事となります。

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