オリンピックや国際イベントに出場するアスリートたちは、メディアやスポンサーの期待に対する計り知れないプレッシャーの中、競技に挑んでいる。ブランドとパートナーシップを結んでいるアスリートは、自分たちの成績がスポンサーにどのような悪影響を与えるかを心配するあまり、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすこともあるようだ。
アスリートたちには、そんなプレッシャーから解放される時間も必要だろう。2024年12月、コカ・コーラ社が展開するスポーツドリンク・Poweradeブランドは、アスリートたちが心身の健康を保てるよう、スポンサー契約を一時停止できるようにする契約条項「The Athletes Code」を発表した。
この取り組みは、2022年のコカ・コーラ社によるプラットフォーム”Pause is Power (一時中断は力なり)”に基づいている。「真の強さとは、スポンサーシップを危険にさらすことなく必要な休息を取ったアスリートが、より強くなって戻ってくることだ」と、スポンサーによるアスリートへの心身のサポートを奨励しているのだ。
The Athletes Codeの最初の利用者となったのは、オリンピック金メダリストのアレックス・モーガン、オリンピック金メダリストの水泳選手タチアナ・スミス、南アフリカのサッカー選手リンダ・モトルハロ、ブラジルのパラリンピック水泳選手ダグラス・マテラだ。
The Athletes Codeのアンバサダーに任命されたタチアナ・スミスは、アスリートたちが直面する厳しい現実をForbesのインタビューでこのように語っている。
たいていの場合、スポンサーシップは実績に基づいていて、私たちアスリートは実績を残さなければなりません。メダルを取れなければ、食卓に食べものを並べることもできない。 スポーツが自分の仕事である場合は特にそうです。The Athletes Codeは、自分という人間を優先する場を提供してくれる新たな契約条項です。
これまで、アスリートのメンタルヘルスに焦点を当てた同様の契約条項を設けているブランドは他になかった。The Athletes Codeは、アスリートが結果を恐れることなく、「必要な休息時間を取りたい」と口にすることで、無条件に自分の時間を取り戻せる環境を作り出したのだ。
この新しい形のコミットメントは、従来の「勝利至上主義」の枠を超え、より包括的で多様な価値観をスポーツの中に取り入れる変化を表しているといえるだろう。また、未来のスポーツ・スポンサーシップのアスリートへのメンタルヘルスケアにおいて、より良い環境を生み出す一歩となるかもしれない。
【参照サイト】How Powerade Is Redefining Athlete Self-Care
【参照サイト】Why Powerade is letting athletes pause partnerships to prioritize mental health
【参照サイト】Powerade’s Athletes Code lets sports stars pause without losing sponsorship
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Edited by Megumi