【2026年8月4日公開】被害状況や交通情報、支援の受付状況は刻々と変化しています。寄付や現地訪問、ボランティアへの参加を検討する際は、必ず各自治体・団体の最新情報をご確認ください。
2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。熊本県宇城市と氷川町では最大震度7を観測。建物や道路、鉄道などに被害が生じ、現在も復旧作業が続いている。遠く離れた場所で被害の様子を目にし、「熊本のために何かできないだろうか」と考えている人もいるだろう。
一方、熊本県内のすべての地域が、同じ被害状況にあるわけではない。支援を必要としている地域がある一方で、大きな建物被害を免れ、営業を再開している店や宿泊施設もある。そうした地域まで一括りに「危険」と捉えられ、宿泊や飲食店のキャンセルが相次げば、地域の事業者や生産者に別の負担が生じる可能性もある。
大切なのは、熊本県全体をひとまとめにするのではなく、地域ごとの被害や受け入れ状況を確かめることだ。支援を必要とする場所には寄付を届ける。熊本でつくられたものを買う。営業している店を利用する。正確な情報を広げ、状況が整った地域を訪れる。それぞれの場所と時間に合った関わり方がある。
離れた場所にいる私たちに、いま何ができるのか。この記事では、寄付や買い物、情報共有、訪問など、熊本とつながり、地域の日常を支えるための選択肢を紹介する。
まず、正確な情報を確認する
災害直後は、被害状況や交通、避難所のニーズが短い時間で変化する。SNSには現地の切実な声が投稿される一方、過去の災害写真や、すでに受付を終了した支援情報が拡散されることもある。支援を始める前に、まずは熊本県や各市町村、社会福祉協議会、公共交通機関などが発信する最新情報を確認したい。
県内の被害状況をはじめ、避難所、義援金、支援物資、ボランティアなどに関する情報が集約されている。
被害の大きい八代市における支援物資、災害ボランティア、生活支援などの情報が随時更新されている。
2026年8月3日現在、九州新幹線の熊本駅から新水俣駅間をはじめ、一部区間で運転見合わせが続いている。復旧の見通しは変わる可能性があるため、移動前には必ず最新の運行情報を確認してほしい。
寄付を通じて支援する
遠方から参加しやすく、現地のニーズに応じて柔軟に活用されやすい支援方法の一つが、金銭による寄付だ。ただし、同じ「寄付」でも、その届け先や使い道は異なる。被災した人に直接配分される義援金、自治体の復旧に使われる寄附金、炊き出しや家屋の保全など支援団体の活動に使われる支援金などがある。
寄付先を選ぶ際は、誰が運営しているのか、何に使われるのか、活動報告が行われるかを確認し、自分が納得できる窓口を選びたい。
熊本県「令和8年熊本地震義援金」
熊本県は、被害を受けた人々を支援するため、義援金を受け付けている。受付期間は2026年10月30日までを予定。振込先や手続きの詳細は、熊本県の公式サイトで確認できる。
ふるさと納税for Good「熊本県八代市 緊急支援プロジェクト」
株式会社ボーダレス・ジャパンが運営する「ふるさと納税for Good」は、熊本県八代市と連携し、ふるさと納税を通じた緊急支援プロジェクトを立ち上げた。同サービスがプロジェクトページの作成や情報発信を支援し、寄付金は八代市および被災地域での緊急支援、避難生活に必要な物資の提供、今後の生活再建などに活用される予定だ。
BRIDGE KUMAMOTO基金
2016年の熊本地震をきっかけに設立されたBRIDGE KUMAMOTOは、今回の地震を受け、緊急災害支援募金「BRIDGE KUMAMOTO基金」を開設している。
集まった支援金は、被災地域ですでに活動する「顔の見える団体」へ届けられる。被災者の支援や地域の復旧、現地で活動する団体への後方支援など、変化する状況に応じて活用され、助成先や使途も随時報告される予定だ。
料理人による炊き出しと「後方支援弁当」
日本サステイナブル・レストラン協会は、熊本県内外の料理人と連携し、被災した人々への炊き出しと、復旧・支援にあたる行政職員への「後方支援弁当」を届けている。
行政職員のなかには、自らも被災しながら、昼夜を問わず支援活動にあたる人もいる。しかし、被災者向けに届けられた食事や物資を、職員が自分のために使うことは難しい。
同協会では、2026年8月1日から10日まで、1日100食の弁当を提供する計画で、食材費や調理費、容器代、燃料費などに充てる支援金を募集している。
地域の飲食店が調理を担うことで、現場を支える人へ食事を届けながら、飲食店の仕事を生み出す。その土地にある技術と仕事を生かした支援だ。
災害支援の専門団体へ寄付する
一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)は、現地へ先遣スタッフを派遣し、緊急支援募金を開始している。
寄付は、物資や食事の提供、被災家屋の応急対応、避難所の環境改善、災害ボランティアセンターの運営支援など、現地のニーズに応じた活動に使われる予定だ。
女性・母子、声を上げにくい人々を支えるジョイセフ
国際協力NGOジョイセフは、被災した女性や妊産婦、母子とその家族、避難生活のなかで困りごとを伝えにくい人々を支える緊急募金を開始している。
寄付金は、熊本県助産師会など現地の団体と連携し、生理用品・衛生用品の提供、妊産婦や乳幼児へのケア、性暴力の予防と被害に遭った人への支援、LGBTQ+を含む声を上げにくい人々へのサポートなどに活用される。
▶令和8年熊本地震 被災した女性・母子、そして声を上げにくい方々のための緊急募金
被災地に住まいを届ける「インスタントハウス基金」
名古屋工業大学は、北川啓介教授が開発した屋外用の簡易住宅「インスタントハウス」を、八代市や益城町、氷川町などの被災地域へ届ける活動を進めている。
被災自治体からは、クーラーを備えたインスタントハウス100棟の提供要請が寄せられている一方、2026年8月2日時点では、基金の残高だけで全棟分の実費をまかなうことが難しいという。寄付金は、インスタントハウスを国内外の災害で住まいを失った人へ届ける費用や、改良に向けた研究開発などに活用される。
熊本のものを買い、地域を訪れて支える
寄付だけが、地域を支える方法ではない。被災した地域でつくられた商品を買うことや、営業を続ける店を利用することは、そこで働く人々の仕事や、地域に根づく産業・文化を支えることにつながる。被災商品や寄付付き商品だけでなく、普段の商品を正規の価格で買い続けることも、地域との大切な関わり方だ。
竹の箸をつくる、ヤマチク
熊本県南関町のヤマチクは、竹の箸を専門につくり続けてきたメーカーだ。地域の竹を生かし、削る、磨く、塗るといった多くの工程を国内で担っている。竹の箸を選ぶことは、一つの製品を買うだけでなく、熊本に残る技術や仕事、竹林の手入れにつながる地域の循環を支えることでもある。
今回の地震を受けては、アウトレットの箸3膳セットを全額寄付商品として販売。300セットが即日完売し、売上金30万円を熊本県の「令和8年熊本地震義援金」へ寄付した。商品を買うという日常の選択が、地域のものづくりと被災した人々の双方を支える形となった。
熊本の農と食をつなぐレストラン
熊本の飲食店は、料理を提供する場所であると同時に、地域の農家や生産者、食文化を支える存在でもある。日本サステイナブル・レストラン協会によると、熊本市内では大きな建物被害がなく、営業を再開している加盟店にも予約のキャンセルが相次いでいるという(※)。
県内すべての地域が同じ被害状況にあるわけではない。道路や公共交通、店舗の営業状況を確認したうえで店を利用することは、飲食店だけでなく、その先にいる生産者や地域の食文化を支えることにもつながる。
「守る」から「生かす」へ。熊本発、土地と都市を結ぶレストラン『antica locanda MIYAMOTO』【FOOD MADE GOOD #20】
物資やボランティアは、募集を確認してから
災害の映像を見て、飲料水や食料、衣類などを送りたいと考える人もいるかもしれない。しかし、必要とされていない物資や、少量ずつ種類の異なる物資が届くと、受け取り、仕分け、保管、廃棄に人手と場所が必要になる。
熊本県は現在、個人からの支援物資を原則として受け付けておらず、義援金などによる支援を案内している。企業・団体からの物資についても、原則として新品・未開封で、段ボール単位の大口提供に限り、事前申請が必要とされている。「役に立つはず」と考えて送るのではなく、「何が、どこで、どれだけ必要とされているか」を必ず確認することが大切だ。
▶令和8年熊本地震に関する支援物資のお問い合わせ・受付について
ボランティアについても同様で、災害ボランティアセンターが開設されていても、募集対象が市内・県内在住者に限定されていたり、事前登録が必要だったりすることがある。宿泊場所、交通手段、食事、装備を確保せずに向かえば、現地の負担を増やしかねない。被災地に駆けつけたい気持ちをいったん手元に置き、自治体や社会福祉協議会からの募集を待つことも、重要な支援である。
情報を、正確に広げる
寄付をする余裕がなくても、信頼できる情報を必要な人へ届けることはできる。たとえば、自治体が公開している寄付先、災害ボランティアセンターの募集情報、営業を再開した店、熊本の商品を扱うオンラインショップなどを共有すること。
ただし、状況は刻一刻と変化し、災害時の情報はすぐに古くなることには注意したい。数日前には必要だった物資が、すでに充足しているかもしれない。募集されていたボランティアが、受付を終了している可能性もある。道路や鉄道の状況も変化する。
SNSで情報を共有するときは、発信元と投稿日を確認し、可能であれば「2026年8月3日現在」など確認した日時を添えたい。個人の投稿を切り取って拡散するより、自治体や支援団体の公式ページへ直接つなぐ方が、情報の更新にも対応しやすい。被害の大きさを伝えることと同じくらい、日常に戻ろうとしている地域の姿を伝えることも重要だ。
離れているからこそ、できること
災害が起きたとき、私たちはしばしば、「現地へ行けない自分には、大したことはできない」と感じてしまうけれど、遠くにいるからこそ担えることもある。
必要な場所へ寄付を届けること。熊本でつくられたものを選ぶこと。営業を再開した店を訪れること。正しい情報を広げ、過度な自粛や風評被害を生まないこと。そして、支援への関心を、報道が減ったあとも持ち続けること。
災害によって壊れたものが修復されても、失われた仕事や顧客とのつながりが、同じ速さで戻るとは限らない。復旧には、数週間、数か月、ときには数年という時間がかかる。だからこそ、支援を一度きりの行動にせず、報道が減ったあとも熊本の商品を選び、次の旅行先として訪れるなど、それぞれが無理なく続けられる方法で関わっていくことが、地域の復旧や日常の回復を支えるのではないだろうか。
※本記事は2026年8月3日時点で確認できた情報に基づいています。寄付の受付期間、支援内容、ボランティアの募集条件、店舗の営業状況、交通情報は変更されることがあります。行動の前に、各自治体・団体・事業者の公式情報をご確認ください。
※ 熊本県で発生した地震への支援について(ご報告とご協力のお願い)| 日本サステイナブル・レストラン協会
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