「食べる」。それは、私たち人間にとって欠かせない日々の営みです。ただ、毎日のことでありながら、いや、毎日のことだからこそ、何気なく食べ物を口にしていることも多いのではないでしょうか。
しかし、食べることは、私たちが思う以上にあらゆる物事とつながり合っています。環境、経済、文化……食は社会のあらゆる側面を映し出す鏡であり、私たちは知らず知らずのうちに、未来を創る選択をしています。
では、「食」は、私たちの社会と、未来と、どのようにつながっているのか?どんな食を選ぶことが、自分自身や他の生命、地球の幸せにつながるのか?なぜ、すべてオーガニックで生産することができないのか──食をめぐるさまざまな問いの“答え”を探るべく、IDEAS FOR GOODは1泊2日の体験ツアーを企画しました。自分と食との関係性を問い直す「物語に触れる旅」です。
舞台は、東京から程近いながらも豊かな自然が息づく、千葉県の御宿・いすみエリア。この地で訪れるのは、野菜、酒、米、養蜂、酪農、そしてジビエや生物多様性の専門家など、日々生命と向き合い、食を生み出す生産者たちです。そこで、食の最前線にいる実践者たちが日々体感している「本音」に直接耳を傾け、流れる空気を五感で感じながら、自分自身と、参加者と皆で対話する。食と向き合うことを通して、それぞれの「生き方」を編み直していきます。
食材の値段が高騰し、気候変動や社会の大きな変化が、食卓にも影響を及ぼす。そんな今だからこそ、一歩立ち止まり、食の「本来の価値」を見つめ直す時間が大切ではないかと思うのです。私と食、生命、暮らし、地球との関係性を問い直していく──そんな「食の物語」に触れる旅に出ませんか?
こんな方におすすめ
- 食の生産に興味がある方
- 食との向き合い方について考えていたい方
- 環境にも動物にも人にも良い取り組みを実践したい方
- 一次生産の体験に興味がある方
- 食の生産のリアルを知りたい方
- 食の生産の実践者とつながりたい方
- 食を切り口に事業を考えている方
- その他、興味がある方であればどなたでも大歓迎
今回の訪問先
ミナモトファーム ~無農薬栽培の野菜作りから考える、未来の農業~
千葉県外房・九十九里浜の一宮町。温暖な気候に太陽と海風が包み込む地で、野菜づくりを行っているミナモトファーム。一般的な野菜から珍しい品種の野菜まで、年間を通して50種類以上の野菜が栽培されています。ご案内いただくのは、「娘たちに安心して食べさせたい」という想いで、無農薬無化学肥料でゼロから野菜づくりを始めた齋藤絢子さん。農家としての苦労や喜びから日々体感する気候変動、これからの気候危機時代の農家のあり方などお話いただきます。季節の野菜の収穫体験後は、採れたて野菜のランチを頂きます。
ミナモトファーム:http://www.minamotofarm.com/
木戸泉 ~菌がのびのび醗酵する、こだわりの自然酒造り~
明治12年創業の木戸泉酒造。調味液で量を増す三増酒が大衆のニーズを賄っていた大量生産が必須の高度成長期に、「添加物や農薬、化学肥料を一切使用しない日本酒を造り」に取り組み始めました。昭和42年には、添加物はもちろん、原料となる米も農薬や化学肥料を一切使わない、自然農法米を100%使用した自然醸造酒の製造も開始。
酒造りにとっては命である水と米。その大地の恵に感謝しながら小さな微生物とも向き合ってきた物語をお話いただきます。
木戸泉酒造:https://www.kidoizumi.jp/
いすみや ~生物多様性によって支えられる有機農業~
いすみ市のオーガニック専門店「いすみや」でお話を伺うのは、手塚幸夫さんです。里山里海の伝統的な自然管理の手法を見直すことが、持続可能な地域づくりの第一歩。そんな想いを持つ手塚さんは、生物教員として勤務しながら、有機稲作に取り組み始め、日本各地の生物多様性地域戦略の策定に関わってきました。
現在は、房総野生生物研究所の代表、オーガニック専門店「いすみや」のマネージャーとして、野生生物の保護管理から有機農業まで幅広く活動する手塚さんに、持続可能な田舎づくりへのヒントとなる「生物多様性農業」についてお話を伺います。
いすみや:https://sites.google.com/view/isumiya/
中林養蜂 ~人と山とハチと生きること~
ハチミツがなくても、私たちは生きていけるかもしれません。しかし、ミツバチがいなくなれば、私たちは生きていけないでしょう。普段私たちが口にしている食べ物の3分の1は、ミツバチなどの受粉を行う生き物に支えられています。そんな「ミツバチ」という存在から、自然環境を守ることと暮らしのつながりを考えます。
訪れるのは、勝浦市の山中で、人と山とミツバチが心地よく暮らせる環境づくりを行っている中林養蜂。山が元気に循環していれば、住みやすい環境になり、海も生き物たちで溢れ、豊かになる。約12年間、環境を整備しながら里山での暮らしを続けてきた中林夫婦に、養蜂を通して感じる「動物や自然と私たちの暮らしのつながり」についてお話していただきます。当日は、養蜂場の見学やハチミツ絞り体験、できたてのハチミツの試食なども予定しています。
中林養蜂:https://nbeekeepers.base.shop/about
みのやファーム ~地域の景色を守りたい想いと葛藤~
生まれ育ったまちの景色を守りたい──耕作放棄地となっていく田を目の当たりにし、そう感じた吉野郁夫さんは、漁業組合の仕事を辞めて米農家に転身。豊かな自然と澄んだ川のそばで米作りを始めました。地域の保全のために農業を始めて3年ほどの間、30ヘクタールの農地をたった一人で管理。自然豊かだからこそ、シカやイノシシの被害とも隣り合わせです。
「正直大変」と言葉を漏らしながらも、日々米と向き合い続けてきた。そんな吉野さんが育てた新米のおむすびを食べながら、米作りの難しさや葛藤から地域への想いまで、食事をともにしながらお話を伺います。
大地牧場 ~日本初の有機牧場が伝えたい人と動物の生命~
美しい海で知られる御宿町の山間部で、2000年よりオーガニック牛乳を生産している大地牧場。日本で初めて有機認証を受けたこの牧場では、牛のストレスにならない環境のもと、こだわりの牛乳が作られています。全国に先駆けてオーガニックで生産を始めたものの、毎日早朝から夜遅くまで大変な作業を続けている従業員たち。そこまでしてなぜ、有機で酪農を続けているのか。酪農業界には今どのような課題があるのか。小さな虫の命も大事に、共に生きてきた大地洋夫さんに、牛舎を案内いただきながらお話しいただきます。
八屋商店(房野ジビエ) ~害獣は悪か?人と動物の共生を考える~
イノシシ、シカ、キョンなど、畑や田んぼを荒らす動物たちが、日本中には増えています。今回滞在する御宿町や周辺にもそうした「害獣」と呼ばれる動物たちが多く生息しています。しかし、悪いのは本当に野生動物の方なのでしょうか。それとも、彼らはかわいそうな存在なのでしょうか。
当日話を聞かせてくれるのは、八屋商店の吉野渉さん。若手猟師のコミュニティ「房野ジビエ」のメンバーとして害獣の捕獲と解体を行う吉野さんに、野生動物とどう向き合っていけばよいのか、どのように生命ある食と向き合っていけるのか──メディアでは語られないリアルな現実と猟師としての想いを伺いながら、答えのない問いについて考えていきます。当日は、野生動物を捕獲する仕掛けの体験やジビエ串の実食も楽しんでいただきます。
房野ジビエ:https://www.instagram.com/fusanogibier/
企画概要
- 日程:2025年11月22日(土)~23日(日)(1泊2日)
- 参加定員:13名(先着順、最小催行人数:7名)
- 参加費用:税込45,000円
- 旅行代金に含まれるもの:現地バス代、食事代(3食:1日目昼・夜、2日目昼)、体験料・見学料、宿泊代、旅行保険代
- 主催:ミニトリップ株式会社/企画:ハーチ株式会社(当日は、ハーチ株式会社スタッフが同行します)
- 申し込み:こちらのフォームよりお申し込みください
- 締め切り:2025年11月10日(月)23:59
- お問い合わせ:ご質問などはIDEAS FOR GOODお問い合わせフォームよりお願いいたします
旅のしおり
1日目(11月22日)
10:30:上総一ノ宮駅集合
11:00~12:00:ミナモトファームにて見学・収穫体験
12:00~13:30:採れたて野菜でランチ&トーク
14:00~15:00:木戸泉酒造見学・試飲
15:30~17:00:オーガニックショップ・いすみやにて手塚幸夫さんトーク
17:30~20:00:夕食&1日目の振り返り
20:30:宿到着・自由時間
2日目(11月23日)
7:15:海散歩
7:40:宿出発
8:00~8:45:勝浦朝市散策&朝食
9:15~10:45:中林養蜂見学&はちみつ絞り
11:15~11:45:みのやファーム見学
12:00~13:00:古民家にて新米おむすびランチ
13:15~14:15:房野ジビエトーク&仕掛け体験
14:30~15:30:大地牧場見学
15:45~16:30:2日目振り返り
17:00:御宿駅解散
宿泊場所について
御宿Sベース(千葉県夷隅郡御宿町)
海まで徒歩1分の宿にご宿泊いただきます。
※男女別の相部屋となる可能性がございます。お部屋割りのご希望は承りかねますので、ご了承ください。
※2名以上でのご参加の場合、相部屋になるよう可能な限りで調整します。
持ち物について
- 動きやすい服装(養蜂場を訪問するため、黒い服装は避けるようお願いします。スニーカーの着用をおすすめします)
- 防寒具・雨具(薄手のレインコート・折り畳み傘など)
- 酔い止め(一部山道も通りますので、酔いやすい方は持参をおすすめします)
共に旅する案内人のご紹介
伊藤智子(いとう ともこ):IDEAS FOR GOOD編集部
地元である大阪の都市部を離れ、数年前に千葉の里山に移住。生態系の一部としての人間のあり方を模索すべく、山の中の古民家でシェアハウス生活を行う。自分が口にするものの生産現場を知るため、魚、肉、米、野菜、牛乳といった生産の最前線で農家の手伝いをしながら、カフェの運営やまちのにぎわいを取り戻すべく地域の活動にも取り組んでいる。最近のテーマは、目の前のものをじっくり感じ、味わい尽くすこと。曖昧なもの、わかりにくいものこそ大事にしたい。
相馬素美(そうま もとみ):IDEAS FOR GOOD編集部
相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。
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