宿の予約で環境を再生。サステナブルな民泊プラットフォーム「sustayn」

2021.04.08

Souma Motomi

新型コロナウイルスの影響で、海外への旅行が難しい状況が続いている。旅行好きな人は、この状況にうんざりしている人もいるかもしれない。ところで、これまでの自分の旅行が、地球環境にどのような影響を与えているかを考えてみたことはあるだろうか。

私たちの日々の消費行動は、ほとんどが環境に何かしらの負荷をかけるものだ。残念ながら、旅行も例外ではない。例えば、飛行機や車による長距離の移動は多くのCO2を排出する。世界中の温室効果ガス排出量の約10分の1は観光により発生していると言われるほど、この問題は深刻だ。また、地元に住む人の暮らしを尊重せずに開発された観光地では、自然環境の破壊や生物多様性の損失が起こっている。

この問題に対して、旅行先の地域文化と環境の保全を第一に考えた「持続可能な観光」を意味するサステナブルツーリズムへの関心が若い世代を中心にここ数年で高まっている。宿泊予約サイトのブッキング・ドットコム・ジャパン社が2018年に行った「サステイナブル・トラベル」に関する調査では、日本の18歳以上の旅行者のうち、「サステイナブルな旅をする意欲がある」と回答した人は81%にのぼった。近年では、フィンランドオーストラリアなどが国をあげてのサステナブルツーリズムの支援を始めており、観光業界からもサステナブルな旅行スタイルを実現するアイデアが次々と提案されている。

『sustayn』もそのひとつだ。3月にローンチされたばかりのこのオンラインプラットフォームは、サステナビリティに貢献する世界中の民泊を掲載しており、民泊の予約とホスト登録を行うことができる。さらに、ここで宿を予約すると予約の仲介手数料の50%がホスト指定の環境保全プロジェクトに寄付されるか、ホストが指定する地域コミュニティの活性化のために使用される仕組みになっている。

image via sustayn

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民泊の個別のページには、ホストの名前や部屋数、ベッド数などといった基本的な情報に加え、サステナビリティに貢献する設備や取り組みなどをチェックできるようになっている。さらに、その民泊を予約することで、手数料がどんなプロジェクトに寄付されるのかも確認できる。

すべてのホストは、ゲストの旅行をよりサステナブルにするヒントを与えるよう推奨されており、例えば、「Afternoon delights」という宿のページには“自分の水筒を持ってこよう!”と書かれている。sustaynのウェブサイトは、全体的にスタイリッシュな仕様で、予約も簡単にできそうだ。

image via sustayn

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寄付先には、ニカラグアやアパラチア山脈、スコットランドなどの森林再生プロジェクトをはじめ、花を植えることでハチを保全するプロジェクトや、ニュージーランドのカリオイ山の生物多様性を保全するプロジェクトなどが選ばれており、現在は全部で10のプロジェクトが掲載されている。寄付先はホストが選択肢の中から自分で決めることができ、プロジェクトの詳細はプラットフォーム内で閲覧できるようになっている。

sustaynのホストには世界中のどこにいても登録することができるうえ、登録の際の細かい基準は設けられていない。これについてsustaynを立ち上げたJosephSharp氏はメールインタビューで、「このプラットフォームの目的は、コミュニティ主導の方法で全ての人がよりサステナブルになることです。ですから、まずはたくさんの人にこのプラットフォームへ参加してもらいたいと思っていますし、このプラットフォームがそれぞれの地域の助けになることを望んでいます。施設を大きく変えることは急には出来ないと思いますが、特定の廃棄物共有アプリを使用したり、ゼロウェイストストアの使用をゲストに勧めたりするなど、知識を共有し、習慣の変化を起こすことは個人にもできるのです」と語っている。

現在sustaynは、サイトの利便性を改善していくために、初期ユーザーからのフィードバックを求めている。また、寄付額のパーセンテージはプラットフォームの成長とともに増やしていくとのことだ。

サステナブルな旅を助ける予約プラットフォームは、バリアフリーな旅行先だけを予約できる『WHEEL THE WORLD』や、持続可能性に配慮した宿泊施設のみを集めた『zerobnb』、予約時に寄付をすると特典がもらえる『KindTraveler』など、他にも数多く存在している。

パンデミックが収まり、また世界中を自由に旅行できるようになったときには、自分たちだけが楽しむのではなく、目的地の環境や地域の人の暮らしに寄り添い、ポジティブなインパクトを与える旅行が今よりももっと“スタンダード”になっていることを期待したい。

【参照サイト】sustayn

この記事を書いたライター

相馬 素美

Souma Motomi

相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。(この人が書いた記事の一覧