地球に優しい民泊をしよう。サステナブルな宿泊施設だけが載った「Zerobnb」

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近年、「エコツーリズム」の人気が高まりを見せている。普段はコンクリートジャングルに暮らす現代人が、田園地方を訪れ、真の自然に触れたり、伝統文化の体験を通じて現地の環境課題を学んだりする旅行のことを広くさすが、そのプロセス自体は、実は必ずしもエコとは言い切れない。

旅行というのは当然、人が何かしらの交通手段を使って移動し、宿泊施設を利用することが含まれる。その過程で排ガスなどの環境負荷を生み出しているのだ。世界中の温室効果ガス排出量の約10分の1は観光によって発生しているとも言われる。

エコツーリズムに似た言葉に、「サステナブルツーリズム(持続可能な観光)」というものある。さまざまな解釈があるが、エコツーリズムが環境保全や持続可能性を高める“学習”に重きを置く一方、「サステナブルツーリズム」は、その旅行のプロセスで環境に負荷をかけないように配慮することに重きを置く。

ガソリンで走る自家用車で一人、旅行に出かけるよりは、公共交通や電気自動車で行く方が環境にやさしいというのは想像がつくが、宿泊施設がどれだけ環境や持続可能性に配慮して運営されているかを簡単に判断するのは、容易なことではない。

そこで発足したのが、『Zerobnb.com』というサイトだ。民泊大手のAirbnbと似たようなサービスに思えるが、持続可能性に配慮した宿泊施設のみを掲載している。環境意識が高く、できるだけ地球に負荷をかけない旅をしたい旅行者のニーズをズバリ満たすサービスである。

Zerobnbは、世界で2番目に持続可能な会社と評されるフィンランドのエネルギー会社、Nesteが行っている取り組みだ。サイトのローンチが10月24日、国連の「国際気候変動対策デー」というところからして、こだわりが垣間見える。

フィンランドのコテージ

Image via Daria Shevtsova from Pexels

Zerobnbに掲載されているリスティングは、リサイクルステーションの設置、プラスチックゴミ最小化の推進、地元の持続可能な交通・サービス・レストランがあるといった特徴を基準にしている。

たとえば、フィンランド・ペルコセンニエミにあるスノーイグルーのリスティングは、日本風にいうと“かまくら”のような氷でできた住居だ。他にもフィンランド・クーサモのサウナ付き湖畔コテージ、ハワイ・ハレイワのビーチ沿いにあるバンガロー等がある。

Nesteのマーケティングディレクターであるシルパ・トゥオミ氏は、「より持続可能な旅行の需要は増えていますが、その専門家でない場合、どの宿泊施設が環境配慮を行っているか見分けるのは非常に難しい。誰でも持続可能な選択がしやすくなることが重要です。」と述べる。

Nesteは、もしAirbnbが“サステナビリティ”という基準で宿泊施設をフィルタリングする機能を提供したら、Zerobnbを閉鎖すると言う。対抗馬として民泊業界に名乗りを上げようというのではなく、「業界構造や意識を変革する」というミッション達成に主眼が置かれていることが感じ取れる。立ち上げと同時に、身の引きどころを明言するZerobnb。この潔さはあっぱれというしかない。Airbnbをはじめ、今後の宿泊業界の地殻変動に注目だ。

【参照サイト】Zerobnb.com

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