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【まとめ】ファッションの「修理サービス」世界の注目事例7選

修理

持続可能な社会の実現に向け、廃棄物の削減は大きな課題だ。その流れの中で、改めて注目を集めているのが使えなくなったものに手を加え、再度長く使えるようにする「修理文化」である。

近年では電化製品のほか、サステナビリティに対する消費者の関心が高まったことから、アパレル業界にも「修理・修繕サービス」の市場が広がりをみせている。トレンドを追い続ける商品サイクルが早いアパレル業界は廃棄がでやすい分野だが、着古した後、新しいものを買うのではなく、修理・修繕し、その後も長く着続けることでブランドの価値をさらに強く構築することにもつながっている。

本記事では、近年ユニークな取り組みで消費者に修理を促す企業や活動、また注目の集まる世界の事例を紹介する。

世界の「修理サービス」注目事例7選

01.服のお直しに地元の仕立て屋とマッチングしてくれる、ロンドン発のサービス「Sojo」

服で困ってる人と、近所の仕立て屋をマッチング。古着を楽しくするアプリ「Sojo」

ロンドン発「服を直したい人」と「服のお直しができる地元の仕立て屋」をマッチングしてくれるアプリ、「Sojo」。アプリで利用したいお直しサービスを選択し注文すると、自転車に乗った配達員が服を取りに来て、3〜5日後にお直しされた服を届けてくれる仕組み。すべて自転車で運ぶため環境に優しく、地元のお直しサービスの新たな需要を生み出すきっかけに。ゆくゆくは仕立て屋だけでなく、お直しのスキルを持つフリーランサーとマッチングすることも視野に入れているという。

  • 国名:イギリス
  • 団体(企業)名:Sojo
02.コロナ禍がもたらした「修理ブーム」。London Recyclesが実施した「London Repair Week」

コロナがもたらしたのは「修理」熱?ロンドンの“Repair Week”現地レポート


新型コロナパンデミックにより、外出自粛で長い時間を家で過ごしたこと、また気候変動への危機意識が増したことなどから、London Recyclesの調査ではロンドンに住む多くの人がパンデミック以前より、ものを修理する頻度が高くなったと答えているという。いわゆる修理ブームの到来。そこでLondon Recyclesは2022年3月14日から20日にかけて「London Repair Week」を開催。ロンドン各地およびオンラインで修理のワークショップやイベントが行われた。

03.手間要らずで衣料ケアができるデジタルワードローブ「Save Your Wardrobe」

所有するすべての衣類をデジタル上にアップロードし、色、スタイル、気分で分類し、スマホから服装を計画および管理ができる「デジタルワードローブ管理アプリ」。所有しているものをデジタルでつなぐことで、修理や、寄付、エコクリーニング、アップサイクルサービスを簡単に予約し、服の手入れをすることで衣料品の寿命を延ばす。人工知能を使用し、衣類を簡単にスキャン、識別することで、同じような洋服を買ってしまうなどの不必要なリピート購入を減らすことができる。

04.パタゴニア、壊れた自社製品をユーザー自身が修理できるよう修理方法をウェブ上にアップ

パタゴニア、オンラインで自社製品の修理方法を軽快な語り口で公開


パタゴニアは電子機器修理のオンラインコミュニティiFixitと提携し、iFixit上でユーザー自身が修理したい製品や修理内容を探し、オンライン上で修理方法を学ぶことができる。また、ユーザーコミュニティで個別に質問を投げかけることができる。買い替えではなく修理によって自社ブランドの製品をより長く使ってもらうことで顧客に価値を提供し続けたい狙いもある。

05.ジーンズの修理を永久的に無料で行うサービスを展開するブランド「Nudie Jeans」


「私たちの仕事にはジーンズを販売することだけでなく、それが破れたときに対処することも含まれています」とうたい、ジーンズのリペアを永久的に無料で行うサービスを展開している。修理方法はNUDIE JEANSのリペアショップに持ち込むか移動式リペアステーションが顧客の近所まで伺い、その場で修繕してくれる方法も。また、近くにリペアショップがない場合は、無料でリペアキッドを提供するサービスも実施している。

  • 国名:スウェーデン
  • 団体(企業)名:Nudie Jeans
06.USEDを拡張する進化型古着屋”森”

2018年に誕生した京都府に店舗を構える進化型古着屋”森”。世界各国から古着を買い付け、店舗に併設されている「RE;CIRCLE STUDIO」でリメイクやリペア、カスタマイズを行う。古着にもう一度手を加えることで全く新しいプロダクトとして開発、販売を行なっている。

07.10YCが行う染め替えサービス「IROHEN」

10YCはアパレル業界における、服の廃棄・低賃金・工場の人材・後継者不足などの問題を考え、「着る人も作る人も豊かに」という理念のもと、2017年に立ち上がった国内ブランド。この理念を達成するために「10年着続けたいと思える服」づくりをしている。

そんな10YCは、シミがついてしまったり色あせてしまった服に、上から色を重ね、新しい命を吹き込むことでより長くより楽しく着てもらうサービス「IROHEN」を展開している。

  • 国名:日本
  • 団体(企業)名:10YC

まとめ

大量生産、大量消費の時代に終止符をうち、環境、また人にできるだけ負荷をかけない「エシカルファッション」に注目が集まる昨今、もともと持っていたものに新たな命を吹き込み、愛着を持って長く使い続けるということも私たちが手軽にできる環境問題への取り組みだろう。まずは商品を購入するとき、「着古したあと(使い古したあと)修理をしてでも手元に持っていたいものか」自分の心に問うてみることから始めたい。

また、日本でも昔から、欠けた食器類を漆で継ぎ、金などの金属粉で装飾を施して仕上げる伝統的な修繕方法「金継ぎ」などが行われてきた。近年は、お家時間が増えたことからプチブームとなっているように、今こそ日本の文化からも学べることが多くある。

今後も持続可能がさけばれる時代の中で、あらゆる企業が「修理サービス」を展開してゆくだろう。「買い替え」から「修理」が当たり前の世の中になるのもそう遠くないかもしれない。

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