近年、世界経済の構造を急速に変貌させているものに、シェアリングエコノミーがある。人々が繋がり、物やサービス、場所などをシェアして効率化する経済だ。
この程、北ヨーロッパ最大のシンクタンクTimbroが、国や企業のシェアリングエコノミーの規模を明らかにする世界初の指標「Timbro Sharing Economy Index」を発表した。
シェアリングエコノミーの規模に関する従来のレポートでは、アンケートや自己報告による指標が用いられてきたが、このシェアリングエコノミー・インデックスは、213カ国で286サービスの月間トラフィックデータを収集している。さらに自動ウェブスクラップ技術を用いて、Airbnb等、286のサービスのうちの21のサービスについて、活動しているサプライヤーの完全な数値化が実施された。
シェアリングエコノミー規模の国別トップ5にはアイスランド、タークス・カイコス諸島、モンテネグロ、マルタ、ニュージーランドがランクイン。日本は、91位であった。
企業のなかでも最大のシェアリングエコノミー規模を誇るのはAirbnbで、週平均で150万という数のサプライヤーが活動していることがわかった。この調査で分析された286の企業のうち、3分の1が住宅のシェアリングに関連している。
ペンシルバニア大学ヘッドリサーチャーのAlexander Funcke博士は、「一般的に、整ったインターネット環境と観光に支えられた経済構造を持つ国々は、シェアリングエコノミーの規模が大きい。アイスランドの経済が金融危機から回復した際、同国で観光の急成長が起こった。伝統的な観光産業では想像も出来ない方法で、シェアリングエコノミーは急速に成長しているのだ。」と述べる。
そして、「この調査でわかるのは、大規模で伝統的な経済の自由度をはかる“経済自由度指数”が、シェアリングエコノミーの規模にも共通していることである。これは、シェアリングエコノミーが税や規制から逃れるものだ、という仮説を否定することになる。」と、TimbroのCEO、Karin Svanborg-Sjövall氏は述べている。
シェアリングエコノミーの進展スピードは速い。それゆえに、社会的枠組みづくりが追いつかず、軋轢を生むという側面もある。しかし、より正確に実態を明らかにする指標が確立したことにから、今後は全体像の把握が進み、行政や民間企業での具体的な計画や戦略立案等にも一役買うことだろう。
【参照サイト】Timbro Sharing Economy Index