チャットの代わりに、10分の電話を。「人の声」が孤独感を低減するという研究結果

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人との接触機会を減らすよう求められるコロナ禍で、孤独感を抱く人は多い。一人暮らしの高齢者や大学生、単身赴任をしている人、小さい子どもを育てるシングルペアレント、親を介護している人。この状況下でお互いが孤立しないよう、「あの人元気かな?」と気になったら声をかけあうことが大切だろう。文字メッセージを送ることもあるだろうが、実は電話をかけることが相手の孤独感の低減に大きな効果を持つという研究結果がある。

精神医学やメンタルヘルスといった分野の査読付き論文を掲載するサイト「JAMA Psychiatry」で公開された「COVID-19パンデミック下の成人の孤独感、憂鬱感、不安感に対する、共感を重視した電話サービスの効果」という論文では、電話をもらった人は平均して20%孤独感が減ったと報告されている。

この研究は240人の高齢者を対象に行われ、電話をもらう介入群と電話をもらわない対照群とに分けられた。そして17~23歳の若者16人が4週間、それぞれ6〜9人の高齢者に定期的に電話をかけた。16人は専門家ではなく、共感的なコミュニケーションについて簡単な訓練を受けた一般の人たちだ。最初の5日間は毎日電話をかけ、その後は高齢者の希望に応じて電話の頻度を減らすこともあった。

1回の通話時間は10分を目安に行われたという。最初のうちは10分を少し超えることもあったというが、いずれにせよ長電話というほどではない。それで相手の孤独感、憂鬱感、不安感を和らげられるという結果が出たのだから、みなさんもぜひ、電話による定期的な声かけを行ってみてはどうだろうか。

同研究は高齢者を対象に行われたが、世代関係なく人とつながっている感覚を持つことは、コロナ禍でもそうでなくても大切だ。オーストラリアのクイーンズランド州政府は「離れていてもつながりを保つ:ソーシャルディスタンスを取りながらのウェルビーイング)」という記事で、ビデオ通話やオンラインクラスに参加することなどを勧めている。相手の顔を見て、声を聞くことが、あなたの元気の源になるのではないだろうか。

【参照サイト】 Effect of Layperson-Delivered, Empathy-Focused Program of Telephone Calls on Loneliness, Depression, and Anxiety Among Adults During the COVID-19 Pandemic: A Randomized Clinical Trial | Anxiety Disorders | JAMA Psychiatry | JAMA Network

Edited by Erika Tomiyama

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