容器包装に新たな選択肢を。石鹸でできた石鹸容器「SOAPBOTTLE」

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私たちの生活は、プラスチック包装で溢れている。例えば、毎日使うシャンプーやリンスは、プラスチック容器に入ったものを買う方がほとんどだろう。国際連合環境計画(UNEP)によると、世界で生産されるプラスチック容器包装の量は、年間約400万トンにものぼる。使用されたプラスチック包装の一部は、ごみ収集の過程で漏れたり、途上国に輸出された後、海に流れ出したりすることで、海洋プラスチックとなってしまう。その結果、世界では年間約800万トンもの海洋プラスチックが発生している。海を漂うプラスチックは、分解されるのに約400年かかると言われており、その間に海を汚染し、生態系にも影響を与えてしまう。

このようにプラスチックで包装された生活用品は使用期間が比較的短いにもかかわらず、その包装が廃棄されると長期間地球に負荷を与えることになる。

そこで今回プラスチック容器包装の代替アイデアとしてご紹介するのが、液体石鹸の容器を固形の石鹸で作るSOAPBOTTLEだ。

石鹸でできた石鹸容器

image via SOAPBOTTLE

SOAPBOTTLEは、中身の液体石鹸を使い切った後、容器自体も固形石鹸として使うことができ、オーガニックの材料でできているため自然分解も可能だ。中身が漏れないようにする金属製の蓋は、新しいSOAPBOTTLEにセットできるようになっており、再利用できるため廃棄物を生み出さない。さらに、パッケージに使われている紙製のラベルにもリサイクル用紙を用いており、こちらも再利用が可能である。このように、SOAPBOTTLEは、全くごみを生み出さないデザインになっているのだ。

SOAPBOTTLEを生み出したのは、ドイツ在住のJonna Breitenhuberさん。プロダクトデザインを専攻していた大学院在学時、メイク用品のプラスチック包装がごみになってしまうことに疑問を抱き、解決方法を探していたという。その後彼女は、食材そのものを器にする料理に発想を得て、SOAPBOTTLEを思いついた。

Jonnaさん率いるSOAPBOTTLE製作チームは、製造資金を集めるため4月22日までクラウドファンディングを行い、目標額を大きく超えて達成した。2022年の5月に、最初の商品が出荷される予定だ。SOAPBOTTLEはプラスチック容器包装のごみ問題を解決するデザインとして、2019年に、German Federal Ecodesign AwardのYoung talent賞も受賞している。

石鹸を石鹸に入れるという大胆な発想から生まれたSOAPBOTTLE。デザインもシンプルで美しい。発案者のJonnaさんは、「サステナブルな考え方と、モダンでシンプルなデザインを掛け合わせることを意識した」と語っているが、これがとても重要な言葉だと筆者は考える。環境に優しく、且つ美しくデザインされたSOAPBOTTLEは、多くの人に新しい選択肢をもたらすに違いない。

【参照サイト】SOAPBOTTLE
【参照サイト】UN environment|“single-use plastics”
【参照サイト】Kickstarter|SOAPBOTTLE
【参照サイト】Bundespreis ecodesign SOAPBOTTLE

Edited by Motomi Souma

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