私たちは1日平均7時間以上、スマホやPCの画面を見て過ごしている(※1)。仕事、SNS、配信サイトでの映画鑑賞……気づけばスクリーンの前にいる時間が増えていないだろうか。そんな中、スクリーンを眺める時間を減らすことで特典が得られるユニークなキャンペーンが登場した。
デンマーク発のファッションブランドSamsøe Samsøe(サムソー・サムソー)は、北欧らしいミニマルで機能的なデザインと、サステナブルな取り組みを重視するブランド。2025年秋冬パリ・ファッション・ウィーク(PFW)期間中、「今この瞬間をよりよく楽しむこと」を奨励するキャンペーン「Pay with Screen Time(スクリーンタイムで支払う)」を実施した。
このキャンペーンでは、スマホのスクリーンタイムを減らすほど、Samsøe Samsøeの商品を割引価格で購入できる。店頭で割引を適用するには、スマホの「スクリーンタイム」機能(iPhoneやAndroidで利用可能)を開き、過去1週間の平均使用時間をスタッフに提示するだけ。前週と比べて、画面を見ていた時間の減少した割合に応じた割引が適応され、25%削減できた場合は会計も25%割引、最大30%の割引が適用される。スクリーンから離れる時間が長いほど、よりお得に買い物ができる仕組みだ。
この取り組みに伴い、Samsøe Samsøeは「スクリーンタイムを賢く使おう」「PFW期間中はスマホを使う時間を減らそう」といったメッセージを記したポスターやデジタルディスプレイをパリ市内の数カ所に掲示。オンライン販売を推奨するのではなく、パリの2つの実店舗での買い物を促した。
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デジタル化が進む現代でも、「リアルな買い物体験」の価値を重視する動きは大きくなっている。2022年の調査では、全世界の消費者の60%が食料品、52%が衣料品、52%が自動車を実店舗で購入することを好むと回答(※2)。Samsøe Samsøeの試みも、この傾向に沿ったものだ。
私たちは何かを「欲しい」と思ったとき、スマートフォンを手に取り、オンラインで他の店と比較したりレビューを確認したりしながら、オンラインで買い物を済ませてしまうことも多い。そうしたデジタル依存が当たり前になっている今、同社は単に「実店舗限定の割引」をするのではなく、実店舗を訪れる機会を作りつつ顧客のデジタルデトックスを助ける施策を実現させた。
実際に生地の質感を手で確かめたり、試着してフィット感を確かめたり、店舗の空間や香りを楽しんだりすることは、オンラインでは得られない体験だ。今回のキャンペーンを通じて、人々は「リアルな買い物の楽しさ」を再発見するきっかけを得たのではないだろうか。
※1 スクリーンタイムの統計:米国での平均スクリーンタイムと世界の残りの地域との比較
※2 Global: Do consumers prefer to shop clothes and books in-person?
【参照サイト】Samsøe Samsøe
【参照サイト】Cette marque offre des réductions si vous réduisez votre temps passé sur votre smartphone
【参照サイト】Scrollez moins, payez moins pendant la Paris Fashion Week
【参照サイト】Payez en temps d’écran avec SAMSØE SAMSØE
【関連記事】100歩歩けば、1分間画面を見られます。スマホ依存を運動で解消するアプリ「STEPPIN」
Edited by Megumi