100歩歩けば、1分間画面を見られます。スマホ依存を運動で解消するアプリ「STEPPIN」

Browse By

今や、スマートフォンは多くの人が持っている便利なツールであり、インターネットを介して世界中の人々がつながれるようになった。しかし、無意識のうちに画面を見続けてしまうスマホ依存などの問題を引き起こすこともある。

また最近は、コンテンツが自動的に読み込まれ、ページが無限に続くように表示される「無限スクロール」の機能が搭載されているページもある。無意識にスマホを見ていて、気づいたら1時間経っていた、という経験をした人も多いのではないだろうか。

こうした問題を解決するために、スクリーン使用時間を制限するアプリや、特定のサイトをブロックする機能、さらに運動を促す歩数計アプリなど、さまざまなサービスが提供されている。iOSアプリ・STEPPIN(ステッピン)も、その一つだ。

2025年1月に登場したSTEPPINは、毎日一定の歩数を稼ぐことで、スクリーン時間を獲得できる仕組みだ。たとえば、歩数目標を達成することで、TikTokやInstagramなどのSNSを利用できる時間を得ることができる。言い換えれば、スクリーンを見るのは自分の健康に良いことをした“ご褒美”だ。STEPPINのウェブサイトには、以下のようなメッセージが記載されている。

アルゴリズムがあなたを支配し、時間や集中力、自由を奪っています。手を止めて、外に出ましょう。取り戻しましょう、あなた自身を。依存から、逃れる準備はできていますか?

Image via STEPPIN

アプリでは、ユーザー自身が設定を決めることができる。「TikTokを1分間使うために100歩歩く」というように、1分間のスクリーン使用時間を得るための歩数を自由に設定できるのだ。また、SNSだけでなく、Netflixやゲームなど長時間見てしまう他のアプリも制限できる。もちろん必要な場合は、STEPPINの制限を解除することも可能だ。ユーザーの画面では、個人の記録を閲覧できるだけでなく、友人、家族、同僚などと進捗状況を共有し、競い合える「リーダーボード」という機能も搭載されているという。

このアプリは、旅行検索エンジン・Kayakを創設したポール・イングリッシュ氏によって開発された。家族とスペインで休暇中、自分を含む家族が常にスマホを使ってSNSをスクロールしていることに気付いたイングリッシュ氏は、一日の歩数とスマホのスクロールを関連付けるアイデアを思いついた。

STEPPINは主にZ世代向けに宣伝されているが、イングリッシュ氏はTechCrunchの取材で「スマホを使いすぎて家から出ないのは、子どもにも大人にも共通している。このアプリはあらゆる年代に役立つ」と述べている。彼自身もこのアプリを使い、SNSの利用が減ったことを実感しているという。

2025年2月現在、STEPPINは無料で提供されているが、今後は有料になる可能性もある。また、今後は歩数だけでなく、ヨガや他の身体活動を記録して、SNSの利用時間を得られる機能も追加される予定だそうだ。

SNSを“ご褒美”と位置付けるシステムについては賛否があるだろうが、少なくともこのアプリの仕組みは、ユーザーの日常の習慣を整え、幸福感を高める助けになるだろう。アプリを使っていくうちに、無意識にスマホを眺めてしまう習慣や、もしかしたら「SNSを見たい」という衝動そのものも、次第に失せていくかもしれない。

【参照サイト】STEPPIN
【参照サイト】This app makes users earn their screen time, 100 steps a minute
【参照サイト】Kayak founder returns with Steppin, an app that locks you out of social media until you go for a walk
【関連記事】スマホに触らなければ1杯無料。“今この瞬間”を百倍楽しむフランスのレストラン
【関連記事】「学校でのスマホ禁止」広がる。子どもとデジタルの程よい距離感を探る

Edited by Megumi

FacebookTwitter