【5/10-11開催】死別を経験した人から、してない人へ。日常の大切さを届ける「死んだ母の日展 ーすって、はいて、たしかに、そこにー」

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2021年5月9日、街中は母の日のプレゼントで溢れ、SNS上では母の日のエピソードで盛り上がっていた。

そんな中、母を亡くした私は取り残され、ひとりぼっちのような気分だった。(後略)

東京藝術大学の学生である中澤希公(なかざわ・きく)さんは、14歳のときに母親を乳がんで亡くした。そのときの思いを、「死んだ母の日展」のウェブサイトでこう書き残している。

母親を亡くした人が書く手紙を共有する展示会「死んだ母の日展」。2025年はその特別企画として、「母親とのささやかな時間」をテーマにした10点のアートと手紙の展覧会「死んだ母の日展 ーすって、はいて、たしかに、そこにー」が開催される。

この展覧会は、母親との死別を経験した人から、まだ死別を経験していない方に向けたメッセージのような企画である。家族と過ごす日常の大切さを伝えることを目的に、「母親とのささやかな時間」をテーマとした中澤希公さんによる10点の作品を展示予定だ。

展示作品

《Vanishing Traces》

展示作品

《午前10時のかけら》

「死んだ母の日展」が始まったのは2022年。学生であり、「死」をテーマにさまざまな活動を行う株式会社むじょうのメンバーでもある中澤さんが、同じような経験をした人が母の日に抱く気持ちに寄り添う企画として、亡き母親への手紙をオンラインで募集し始めた。5月の母の日に合わせて毎年開催しており、これまで約2,000通の手紙が集まっている。

ウェブサイトは、今は亡き母親に感謝を伝える場だけでなく、近況報告や愚痴、懐かしい思い出を語る場としても使われているようだ。実際に寄せられた手紙を読むことも、自分で手紙を書くこともできる(書きたい人に向けたフォームはこちら。応募は2025年5月11日まで)。

死別を描く映画やドラマを見て、涙が溢れてきた経験のある人は多いだろう。大切な人を、もっと大切にしたいと心に誓うかもしれない。だからこそ、今この瞬間に言葉にしたり、行動したりしよう。この展覧会は、そんなことを教えてくれる気がする。ありがとう、ごめんね、元気でいてね──そう思ったときに、伝えられるうちに。

(前略)お母さんにカーネーションを渡したり、料理をプレゼントしたり。そんな友達の姿を見て羨ましくなった。仏壇に手を合わせても、花を供えても、天国にいる母からの反応はない。母を思い出さなければ、一緒に過ごした思い出ごと忘れていくような感覚に襲われた。

どんなに願ったって死んじゃったら、会えない。どうにかして、天国にいる母と繋がれるような空間を作りたいと思った。そんな空間で、想いを綴れば、母に届くのではないだろうか。

記念日に立ち止まり、故人に想いを届けて欲しい。

「死んだ母の日展」ウェブサイト 中澤希公さんの手書きの文章より)

開催概要

展示会名 死んだ母の日展 ーすって、はいて、たしかに、そこにー
会場 アフロードクリニック
住所 東京都渋谷区神宮前3丁目5−7 BASE神宮前 B1
開館時間 平日:9時30分~21時30分/土日祝:10時〜18時
日時 5月10日(土)10時〜18時、5月11日(日)10時〜17時
参加料 無料
キュレーション 田尾圭一郎
主催 株式会社むじょう
特別協賛 三和物産株式会社
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