知らない人が考えた「最も有意義な12時間」を過ごすイベント

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人間の多様性には、性別、人種、年齢など、ぱっと見て比較的わかりやすいものもあれば、価値観、考え方、人生経験など、一見わかりにくいものもある。

「相手も、きっと同じことを思っているだろう」「他の人も同じ考えだろう」と早とちりをして行動し、人と衝突してしまった経験がある人もいるだろう。見ただけではわかりにくい多様性があることを、腹の底から理解するには、どうすれば良いだろうか。

東京を拠点に活動するパフォーマンスユニット「身体企画ユニット ヨハク」は、「何を有意義と考えるか」という価値観が人によって違うことを体感できるワークショップ「マルコビッチの休日」を実施している。このワークショップ名は、1990年代のアメリカ映画から着想を得ているという。

マルコビッチの休日の内容は、他人が考えた「有意義な時間の過ごし方」を、自分が代行するというものだ。

たとえば、2022年に東京の北千住で開催されたワークショップでは、8人の参加者がそれぞれ「自分がもっとも有意義だと思う12時間の過ごし方」を時間割にして持ち寄り、お互いに時間割を交換。参加者は、時間割に沿って筋トレをしたり、寝たり、カレーを食べたりして、12時間を過ごしたという。

Image via 身体企画ユニット ヨハク

Image via 身体企画ユニット ヨハク 他の誰かにとっての有意義な時間を、自身の体を使って過ごす参加者たち

Image via 身体企画ユニット ヨハク

Image via 身体企画ユニット ヨハク 「カレーをいただく」という時間割に沿ってカレーを食べた参加者

ワークショップを実施した後、参加者からは、「自分で時間の使い方を判断する必要がなく、ノーストレスで楽しい」「慣れないことをして疲れた」など、さまざまな感想が寄せられたそうだ。

身体企画ユニット ヨハクの秋山きらら氏は、ワークショップのレポートで次のように述べている。

自分がもっとも有意義だと思う12時間のプランを交換し実行することで、時間の使い方(≒ 今を生きる)に現れる思考や習慣や判断基準といった人生という長い時間の中で培われた価値観や、身体的に獲得している時間感覚とか、有”意義”を感じるセンサーを、他者から借りてきた感は大いに実感した。

自由な休みの日に、人間の内面的な多様性に触れられそうな、没入感のあるワークショップ。機会があれば、ぜひ参加してみてはどうだろうか。

【参照サイト】ヨハク | うごきずかん
【参照サイト】<無為フェス#10>身体企画ユニット ヨハク『円グラフという12時間の価値観の振付』|北千住BUoY
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