なぜ人は、植物に名前を付けるのか?思考する「植物フェス」東京・文京区で開催へ

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1700年代に「植物の命名法」を確立した博物学者ことカール・フォン・リンネ。植物の解像度を高めたリンネの視点が、今日、自然と調和する生き方を模索するうえで役に立つかもしれない。

2023年11月上旬、東京都文京区の小石川植物園とその近隣地域で、「小石川植物祭 2023」が開催される。テーマは「命名—なぜ人は植物に名を授けるのか」。2023年5月時点で、同テーマに沿った物販や作品展示、ワークショップなどの出展者を募集している。

Image via 保田 敬介(Arki.Co.Ltd.) 2023年の出展者公募現地説明会の様子

Image via 保田 敬介(Arki.Co.Ltd.) 2023年の出展者公募現地説明会の様子

「命名」というテーマが設定された背景には、「もっと植物の名前を意識することで、植物に対する理解が深まり、ひいては植物を軸にした街づくりを進められるのではないか」という想いがある。小石川植物祭 2023のキュレーターである藤原辰史氏は、プレスリリースで次のように述べている。

ところが、由々しきことに、植物の名前が急速に人びとの記憶から消えつつある。私たちは、次第に「緑」とか「木々」という抽象的な言葉によって植物を遠くから「眺める」ことに終始しがちである。もっと植物の名前を知ろう。(中略)

ちょうど人間の名前を名乗ることから社会関係が築かれていくのと同様に、植物との関係を新しく取り結ぶことにもつながるだろう。

小石川植物祭は、2022年に初めて開催された。昨年は「小石川ボタニカルカフェ」「植物と本の旅」「葉っぱカルタ」といったプロジェクトが出展。広い植物園の中に出展者を点在させ、思いがけない作品との出会いを来場者が楽しめるようにしたという。

Image via 保田 敬介(Arki.Co.Ltd.) 小石川植物祭 2022の出展の様子

Image via 保田 敬介(Arki.Co.Ltd.) 小石川植物祭 2022の出展の様子

総合ディレクターは、東京とモスクワを拠点に活動する建築家ユニットのKASA。瀬戸内海の島々を舞台にした瀬戸内国際芸術祭の、参加アーティストでもある。小石川植物祭 2023では、私たちの今の価値観に何かを問いかける出展プロジェクトを待ち望んでいるという。

小石川植物園は、植物学の研究・教育を目的とする東京大学の附属施設だ。植物とより良い関係を築くために、同園の植物を近くで見つめてみたい。

【参照サイト】小石川植物祭 | KOISHIKAWA BOTANICAL FESTIVAL2023
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