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モデルマイノリティとは・意味

優秀な学生 モデルマイノリティ

モデルマイノリティとは?

モデルマイノリティは、ある社会の中での人口で(人種・民族的に)少数派でありながら、社会平均よりも「成功」している人々のグループのこと。高学歴で勤勉で、犯罪に手を染めず、高所得の職や高い地位に就く、いわば「マイノリティのお手本」だ。言葉の発祥は、1966年に発行されたUS News& WorldReportの記事にて、アメリカの社会学者ウィリアム・ピーターセンが、アメリカで軽視された少数民族にもかかわらず成功を収めたアジア系アメリカ人を説明するのに用いたこととされている。

アメリカではしばしばアジア系アメリカ人(特に東アジア系)や、ユダヤ系アメリカ人を指す言葉として使われている。ヒスパニック系・およびアフリカ系のアメリカ人と比較して、犯罪を起こしづらく、アメリカの社会規範に則って生活をしている市民だという捉え方だ。イギリスなどの国々でも、民族によるステレオタイプとその多大なるプレッシャーによる弊害についての研究がある(※1)

米テキサス大学オースティン校のカウンセリング・メンタルヘルスセンターは、アジア系アメリカ人が受ける偏見について、ウェブサイトの中でこのように解説している。

典型的なモデルマイノリティのステレオタイプとして、以下の要素があるとされます。

  • 頭がいい(特に数学・科学・テクノロジー分野がもともと得意)
  • 家が裕福
  • 勤勉で自立しており、「アメリカンドリーム」を体現している
  • 従順で、反抗しない
  • 精神的に悟りを開いており、援助を必要としていない

あなたがアジア系アメリカ人なら、他人(仲間、教授、教師、カウンセラーなど)から、いつも勉強していて数学に長けており、不平不満も言わないという期待を持たれた経験があるかもしれません。しかし固定観念にとらわれず、アジア系アメリカ人は多様な経験を持つ多様な個人のグループであることを覚えておくことが重要です。

このような偏見やステレオタイプにさらされることは、他の民族、そして同じ民族の間での対立を起こす。また「アジア系、ユダヤ系は自分で経済を支えられるので、支援の優先度は低い」などと思われることで、社会の中で経済的な破綻などに陥った場合に、しかるべき福祉を軽視されるという弊害もある。

2018年、遺伝学者で神経科学者のケビン・ミッチェルは人種グループと知性の関係性について「遺伝的変異は、ある人が別の人よりも賢い理由を説明するのに役立つかもしれないが、ある集団を次の集団よりも賢くする安定した体系的な遺伝的差異はありそうにない。」とガーディアン紙にて述べている(※2)

アジア系アメリカ人の歴史と現在

日系アメリカ人の所得は、2017年時点でアメリカ国内では上位に入っている(※3)が、受難の歴史もある。第2次世大戦中に枢軸国側イタリア系やドイツ系市民には特に対策が行われなかったにもかかわらず、日系アメリカ人が強制収容されたのは、スパイ工作・反乱への恐怖心や差別感情の高まりがあったからだと言われる。

また、中国系の初期の移民の多くは肉体労働者だった。その数の多さから中国人排斥法で制限されたこともあった。しかし今では裕福な部類に入っている。アジア系アメリカ人グループが成功しているのは、その控えめな特徴や、社会に反抗せず文化に適応してきたことが理由だと考える「モデルマイノリティ神話」があるが、やはり一概に言うことはできない。

アメリカのメディアでは、1960年代ごろからアジア系アメリカ人の成功についての情報が盛んに発信されるようになった。学校での高い平均テストスコアと点数、Spelling Beeといった全国的なスペリングコンテストの受賞、および大学への高い出席率などが報道されている。

アジア以外の地域では、日本、中国、韓国といった国の違いをよく理解していない人も多く「アジア人」または「中国人」という一括りとして認識される場合もある。

アジア人差別・暴力問題に声をあげるマイノリティ

昨今、アメリカでは黒人差別への反対運動BLM(Black Lives Matter)の影で、アジア人に対する差別や暴力が急増している。たとえば通行人から突然刺されたり、傘で殴られたりといったものだ。2021年3月には、米ジョージア州アトランタのマッサージ店3か所で、8人が死亡した銃撃事件も発生した。

カリフォルニア州立大学の研究センターは、ヘイトクラム(憎悪犯罪)がアメリカ社会全体では減少したにもかかわらず、アジア系アメリカ人に対する憎悪犯罪が2019年から2020年の間に149%急増したことを示す調査結果を2021年3月上旬に発表した。非営利団体StopAAPI Hateはこれまでに、3,800件の憎悪犯罪を報告しており、被害者のほとんどが女性だとしている。

この背景として、元々持っていたアジア人への偏見に加え、2020年に中国・武漢で発生した新型コロナウイルス感染症やその対策への不満がある。また、成長著しい中国がアメリカの世界覇権に挑み政治的に激しく対立し、反中国的な施策が行われていることがメディアで報じられることが挙げられる。

アジア人全体への憎悪犯罪が行われる中、#StopAsianHate(アジア人へのヘイトを止めろ)と声を上げる抗議活動が各所で行われ、俳優でありコメディアンのマーガレット・チョーなど、アジアにルーツを持つ多くの著名人が賛同している。

これまでアメリカ社会の中では比較的「従順で抵抗しない」とされてきたモデルマイノリティ。以下のサイトでは、アジア人差別・暴力の問題に関する情報や寄付先、ボランティア先などが示されている。

#StopAsianHate

※1 A blessing with a curse: model minority ethnic students and the construction of educational success
※2 Why genetic IQ differences between ‘races’ are unlikely
※3 アメリカ合衆国国勢調査局 2017年の調査では、インド人やフィリピン人、スリランカ人に続いて日本人の世帯収入が高かった(7万3,856米ドル)
【参照サイト】Model Minority Stereotype for Asian Americans

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