人にも環境にも優しいカーシェアリングで、ニューヨークからタクシーが消える日

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渋滞はドライバーにとってだけではなく、経済面や環境面から考えても非常に厄介なものだ。ニューヨーク市の交通調査によると、渋滞による年間の経済損失コストは1,600億米ドルにのぼり、渋滞により失われる時間は70億時間、その間に使用される燃料は30億ガロンに達するという。ラッシュ時の渋滞が長年深刻な問題だったニューヨークで、カーシェアリングによりこれらの問題が劇的に改善できるという調査結果が報告された。

MITのコンピュータサイエンスと人工知能研究所(CSAIL)のダニエラ・ルス教授が率いる研究者らの調査によると、UberやLyftなどのカーシェアリングサービスの利用により、移動時間に大きな影響を及ぼさずに、ニューヨーク市内を走るタクシーの数を75%減らすことができることが分かった。

ルス教授らが開発した新たなアルゴリズムによると、4人乗り乗用車3,000台がカーシェアリングとして使用されれば、平均待ち時間はわずか2.7秒まで短縮され、ニューヨークのタクシー需要の98%をカバーすることができるという。

さらに、現在ニューヨーク市で稼動している約14,000台のタクシーの代わりにわずか2,000台の10人乗り自動車を使用するだけでも、全体需要の95%をカバーできるとのことだ。

これらの研究結果を現実のものとするため、MITらは300万台にもおよぶタクシー乗り場からのデータをリアルタイムで処理し、さらには、着信要求に基づいて車を再ルーティングし、需要の高い地域に車を積極的に送ることができるという仕組みを構築しており、これが実用されればサービスのスピードアップを20%図ることも可能となる。

また、カーシェアリングはドライバーにとっても利点がある。一度に乗客を2~4人送迎すれば、タクシーよりも短い時間で同額を稼ぐことができ、就業時間の短縮にも繋がるのだ。

ダグラス教授は、「この研究結果は科学者が様々な大きさの車両、能力、待ち時間、旅行遅延、運行コストのトレードオフを実験的に数値化できた初めての事例であり、さらには、リアルタイム要求に基づいて車両を連続的に経路変更することができるため、特に自律型車に適している。」と言及している。

全米科学アカデミー議事録(PNAS)にも掲載されたこの研究結果は、今後ニューヨーク市での交通事情に多大な影響を与えることになるだろう。カーシェアリングは大都会で駐車スペースのない地域に住む人々や、車の持てない若い世代を中心に受け入れられているシステムだが、今回の研究結果により、カーシェアリングは利用者だけではなく交通渋滞の解消や排気ガスやエネルギー利用の軽減、運転手の労働条件など、社会や環境に多くのメリットを及ぼすことが明らかになった。今後も推進され、浸透していくシステムであることは間違いない。

日本でもシェアリングエコノミー市場は年々拡大しつつあるが、今回のニューヨークからのレポートは、まさにシェアリングエコノミーが社会に好影響をもたらしうることを示す好事例の一つだと言える。

【参照記事】STUDY: CARPOOLING APPS COULD REDUCE TAXI TRAFFIC 75%