あらゆるモノやコトのデジタル化やグローバル化が進むなか、私たちの働き方もここ数年で大きく変化しつつある。
特定のオフィスを持たずに移動しながら仕事をする「ノマドワーク」や、自宅から仕事をする「リモートワーク」、複数の会社がオフィスを共有する「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」、オフィスに勤務はするものの固定席はない「フリーアドレス」にいたるまで、ワークスタイルの多様化に伴い様々な言葉が登場し、「ワークプレイス」も再定義するべき時代がやってきている。
IDEAS FOR GOODでも、先日ホームシェアリングとコワーキングを掛け合わせたオランダ・アムステルダム発の新たな職住空間「Zoku」を紹介したばかりだ。
そんな「ワークプレイス」のあり方に、全く新しい提案をしている自動車メーカーがある。それが、100%電気自動車や自動運転など、テクノロジーを活用した未来型自動車の開発に力を入れている日産だ。同社が英国のStudio Hardieとともにデザインしたのは、世界初となるデジタルノマド向け電気自動車「e-NV200 WORKSPACe」だ。
このCO2を一切排出しないゼロ・エミッション電気自動車は、日産の100%電気自動車「e-NV200」をワークプレイス仕様にデザインしたもので、仕事に必要な全てを社内に搭載したスマートカーとなっている。
作業用デスク、タッチスクリーンコンピューターに加えて、ワイヤレスインターネット、Bluetoothのオーディオ、スマートフォンで調整可能なLED照明、ワイヤレス携帯充電器、そしてミニ冷蔵庫とコーヒーマシンまで装備されており、まさに「走るワークプレイス」だ。
このe-NV200 WORKSPACeはわずか30分で80%までバッテリー充電が可能で、車両の駐車・充電中に街中を移動できるよう、折り畳み自転車も内蔵されている。
日産ヨーロッパで電気自動車部門ディレクターを務めるGareth Dunsmore氏は「大都市における不動産価格が高騰しており、現代のプロフェッショナルはより移動が求められることを考えると、企業はワークプレイスのあり方についてスマートな思考が必要となるだろう。コワーキングやリモートワークが広がりを見せているなかで、我々の自動車がよりコネクテッドになり、エネルギー効率を高め、移動可能なワークプレイスになるという未来はそれほど大げさなことではない。e-NV200 WORKSPACeはコンセプト以上のものになりうるのだ」と語る。
電気自動車をオフィスにするという斬新なアイデアだが、場所にとらわれない働き方が一般的になりつつある現代を考えれば、その延長線上にある一つの選択肢として可能性はありそうだ。
「人」が「動く」と書いて「働く」と読むが、これまで革新的な車の開発を通じて人の移動をデザインしてきた日産が、「働く」の未来をデザインするというのもユニークに感じる。
日産が手がけ始めたカーシェアリングと掛け合わせることで、「シェアオフィスカー」も登場するかもしれない。今後も日産らしいテクノロジーとアイデアの掛け合わせに期待したい。
【参照サイト】The future of working: Nissan e-NV200 WORKSPACe is the world’s first all-electric mobile office