ダンス衣装の循環を表現するパフォーマンスの祭典「Free the Pattern」

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「循環する服」とは何だろうか。着古された服がリサイクルされて新たな服になることを想像する人も多いかもしれない。それだけではないとしたら、どのように伝えれば、理解・共感を増やせるのだろうか。

2021年11月下旬、「Free the Pattern-ダンスがつなぐサスティナブルな⾐装展」が開催された。この衣装企画展では、サステナビリティとデザイン性を兼ね備えた衣装の展示のほかに、実力派ダンサーによるパフォーマンスも展開された。ここでは、特に印象深かったパフォーマンスを紹介する。

既存の概念を取り払い、多種多様な着方ができる衣装

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近未来を表し、幾何学模様にしているという(カメラマン: Momoko Maruyama)

この衣装は、襟や袖口、裾に首や腕、足を通せる「穴」が開いており、ファスナーを活用しながら前後・左右・上下・斜めに着直しながら何通りもの自由な着方ができるように設計されている。決まった着方にとどまらず衣装をさまざまな形で楽しむことができることが、製品の長寿命化につながっているのだ。パフォーマンスでは、2人のダンサーが踊りながらファスナーを開け合ったり着替えを助け合ったりして着方の自由度を表現した。

カメラマン: Momoko Maruyama

パーツの組み換えで様々なパターンがつくれるモジュール型衣装

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レゴブロックのようなカラーリングで可変性を伝える(カメラマン: Momoko Maruyama)

この衣装は、修理・交換・アップグレードができるよう、スナップボタンを用いて可変できるように設計されている。これにより、一つの衣装だけでなく、いくつかの衣装のモジュールを循環させ合いながら衣装を使い続けることが可能。パフォーマンスの中では、2人が踊りながらお互いにスナップボタンを付け替えたり、袖を外しあってネクタイにしたりと、コロコロと変わる衣装で表現できる無限の可能性を伝えた。

カメラマン: Momoko Maruyama

ダンス衣装の所有から利用へ

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別のショーでスポットライトを浴びていた衣装が登場(カメラマン: Momoko Maruyama)

この衣装では、「製品を”所有する”から製品を”利用する”」というテーマで、渋谷のダンススタジオ「ダンスワークス」で使われた衣装を加工している。一般的に、ダンス衣装はステージの世界観に合わせて1回しか使われないことが多く、共有されることはほとんどないという。パフォーマンスではクローゼットにあふれた衣装を2人のダンサーがシェアし、加工してオリジナリティを表すようなダンスを披露した。

カメラマン: Momoko Maruyama

本イベントを主催するMirach Design Worksは「Expand Creation」を掲げ、衣装制作という側面から100年後も踊り続けられるサステナブルな未来の実現を目指す。実際にダンス衣装のリースサービス「CO-S」を運営し、ダンサーが衣装代を負う経済的な負担を軽減させながらダンサーの表現力をサポートし、サステナビリティを追求している。

今回のイベント後にMirach Design Works代表である近藤さんは「サステナビリティとアートが融合し表現するものは多くはない。アートは人と自然や社会との調和をアウトプットできるものの一つだと思うので、これからもそういったものを作っていきたい。」と話した。

会場では「かっこいい!」「綺麗!」といった歓声が混じった。ダンスを交えることでサステナビリティを頭で理解するだけでない、表現の自由さと誰もが心を奪われる訴求力の可能性を存分に感じられるパフォーマンスとなっており、これからのMirach Design Worksに期待が募る。

【参照サイト】Mirach Design Works

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