恋人と一緒、じゃなくてもいい。2月15日は“おひとりさま“の日

Browse By

近年、「おひとりさま」や「ソロ活」など、ひとりの時間を楽しむ人や行動を指す言葉をよく目にするようになった。実際に25歳から39歳を対象にしたアンケートでも、56%の人が「ひとりでいる方が好き」と回答しており(※)、その数は増加傾向にある

パートナーや配偶者の有無にとらわれない、おひとりさま(=シングル)を楽しむ人は、日本だけでなく、アメリカや韓国、ヨーロッパ諸国など世界中で広がっている。彼らは他人の予定や意見を気にすることなく、旅行や外食などひとり時間を自由に楽しんでいる。

「Singles Awareness Day(シングルス・アウェアネス・デー)」をご存知だろうか。自分自身を愛し、周りの友人や家族の愛を認識し、受け入れることを目的としたこの非公式の祝日は、バレンタインデーの翌日、2月15日に制定されている。

バレンタインデーはカップルが愛を伝え合う日であることから、シングルの人が偏見や孤独感を感じやすい。そんな人に向けた「ひとりでもいい」という価値観を思い起こさせてくれる日だ。シングル同士でパーティをしたり、自分自身にご褒美を買ったり、大切な家族や友達と過ごしたり……それぞれの楽しみ方でポジティブに過ごす。

エルサレム・ヘブライ大学のエリアキム・キスレフ氏の研究によると、「幸せなシングルと幸せでないシングルの大きな違いは、一般的にひとりでいることの固定観念を内面化しているか、それを無視しているかに依存している」という。ひとりでいることに満足していない人は、適切な人に出会えず、孤独に年をとってしまうのではないかと不安や諦めを感じている。それに対し、シングルでいることに幸せを感じている人は、孤独を満喫し、自分の人生に責任を持ち、恋愛や結婚にとらわれない社会的なつながりに満足している。

Image via Shutterstock

映画ハリーポッターシリーズで人気を博した俳優のエマ・ワトソンはINDEPENDENT誌のインタビューの中でこう語っている。「長い時間はかかったけれど、今はシングルで本当に幸せ。私はそれをセルフパートナー(self-partnered)と呼んでいる」と。今、もしパートナーや配偶者がいなくても、ひとりでいることを肯定的に捉えて、自分自身の人生に集中し、自立した個人として幸せな生き方を追求していくこと。それが幸せなシングルであるために大切なことではないだろうか。

近年、生活スタイルやジェンダーをはじめとして多様な恋愛観、家族観が尊重される風潮になってきているが、今もなお、独身でいることや、子どもがいないことなどへの無意識の差別や偏見は存在している。

筆者は数年前、姪と公園で遊んでいた時に70代くらいの男性に「娘さんですか?」と声をかけられた。私が彼女の母親ではない旨を伝えると、「結婚していないの?」「子どもは?」と次々と質問を投げかけられた。初対面で随分とプライバシーに関わる質問をされ違和感は感じたものの、独身で子どもはいないことを丁寧に答えると、男性は即座に一言、「それはかわいそうですね」。

その男性も無意識に発した言葉だったに違いない。しかしながら「ひとり=かわいそう」と考える人々は確かに存在している。他人との距離の取り方や関係性は人それぞれ、そして何を選択するかは誰かに干渉されるものでもない。配偶者や子どもの有無に関係なく、自分自身を大切にしている人は魅力的である。今年のシングルアウェアネスデーは世間の見えない「基準」や「規範」にとらわれず「自分自身」に向き合うために過ごしてみてはいかがだろうか。

あの日公園で筆者に「かわいそう」と言った方に今なら胸を張って言いたい。「私は幸せです」と。

博報堂生活総合研究所「ひとり意識・行動調査1993/2023」(25-39歳男女対象)
【参照サイト】Singles Awareness Day 2024
【参照サイト】CNN: Singles Awareness Day: The benefits of being single
【参照サイト】The Guardian: Happy alone: the young South Koreans embracing single life
【参照サイト】INDEPENDENT: Emma Watson clarifies what being ‘self-partnered’ means to her
【関連記事】セルフパートナーシップとは・意味
【関連記事】マイクロアグレッションとは・意味
Edited by Megumi

FacebookTwitter