幸福度ランキングで常に上位に名を連ねる北欧諸国。その中でも、コペンハーゲン大都市圏(デンマーク東部とスウェーデン南部を含む)は、快適な気候、高水準の給与、充実したワークライフバランス、そして平等と民主主義の伝統によって、多くの人々を魅了する人気の都市だ。
そんなコペンハーゲン大都市圏で開始され、話題になっているのが「生活の質保険」だ。これは、移住者が不満を感じた場合、往復の旅費を返金するというキャンペーンである。
もしコペンハーゲン大都市圏への移住を決めたなら、まずは公式ウェブサイトでオンライン登録。その後、フルタイムの仕事を見つける(同じサイトで簡単に検索可能)。あとは2025年4月までにコペンハーゲンへ移住するだけで、「生活の質保険」を利用できる。この保険では、往復旅費が本人に5,000デンマーククローネ(約10万円)、家族に2,000デンマーククローネ(約43,000円)まで保障される。対象者は2025年4月までにコペンハーゲン大都市圏へ移住し、1年以上のフルタイム雇用契約を持つ移住者。不満がある場合、2025年10月以降に払い戻しを申請できるとという。
コペンハーゲン大都市圏ウェブサイトにはこんな文言が踊る。
「皆さんがコペンハーゲン大都市圏にいらしたら、生活の質が向上することに私たちは自信があります。が、そうでない場合には、ご帰宅のお手伝いをします」
こんな「生活の質保証」をする、自信の背景は一体、何にあるのだろうか。
まずは労働。デンマークのワークライフバランスは世界トップクラスとも言われている。12か月の雇用を経れば、5週間の有給休暇が取得可能。移住者も同様だ。子どもの体調が悪いときには休暇を取れるほか、育児休暇は52週間もあり、パートナーと分け合うことも可能。さらに、フレキシブルな勤務体系が家庭との両立をサポートする。
高度な医療、教育、保育は無料だ。大学まで教育費は免除されている。市民に開かれ、企業とのコラボレーションやインターンも盛んな大学で学び直しもできる。今回のキャンペーンは、こうした政策の一環であるとも言える。
こちらは、コペンハーゲン大都市圏ウェブサイトに掲載されている移住者の声だ。
「私はこの職場の文化がとても好きです。官僚的な手続きや厳しい上下関係がほとんどなく、みんなが本当のチームとして協力し合って働いているんです」
「コペンハーゲンに来ると、ストレスを感じない。本当にライフスタイルが変わるし、健康にも影響すると思うよ」
さあ、あなたもコペンハーゲンに移住したくなってきただろうか。北欧の幸福な生活は、高い税負担や創造的な教育、政治参加といった責任を伴う。「生活の質保険」は、そうした責任を果たすと同時に享受できる人間の幸福に、いかに自信と誇りを持っているかという証左でもあるのかもしれない。
【参照サイト】Copenhagen guarantees happiness to anyone who moves there: ‘We’re confident people will fall in love with life in the GCR’
【参照サイト】Greater Copenhagen Region 公式ホームページ
【参照サイト】U.S. News and World Report Quality of Life
【参照サイト】Global Life-Work Balance Index 2024, Remote
【参照サイト】世界の幸福度ランキング
Edited by Erika Tomiyama